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2004年05月03日

キース・ジャレット・トリオを聴きにゆくと

本願寺出版社のフジモトさんのお誘いでフェスティバル・ホールにキース・ジャレット・トリオを聴きに行く。

キース・ジャレットというと、私の年頃のジャズ少年にとっては、1967年の衝撃的なチャールス・ロイドの『フォレスト・フラワー』が「お初にお目にかかります」である。

私はこの年高校を中退してお茶の水のジャズ喫茶ニューポートで半年ほどカウンターのバイトをしていた。

チャールス・ロイド はこの前後二年ほどのあいだにDream Weaver、Forest Flower,Love-In と立て続けに話題作を発表していて、たしか67年のJazzman of the year に選ばれた「時の人」であった。

というわけでニューポートで朝から晩まで私はチャールス・ロイド・バンドを聴いて16歳の終わりから17歳の始めを過ごしていたのであった。

だからそのあと東大のEast Herd というジャズバンドの新入部員になったときに私のドラミング・スタイルの「神様」がジャック・デジョネットだったのはごく当然のことだった。

ジャック・デジョネットのドラミング・スタイルはその少し前にジョン・コルトレーンとのコンボで一世を風靡したエルヴィン・ジョーンズの「裏に裏に入る」スリリングなスタイルをもう少し穏やかにした「きわきわの予定調和」というものであり、このコンセプトはウチダの気質にたいへんなじみのよろしいものであった。

もちろん私のドラム技術はコピーに遠く及ばなかったのであるが、それでも何を表現したいのかについては私なりのイメージがあったのである。

ロックでは、チャーリー・ワッツもリンゴ・スターもキース・ムーンも田辺昭知(スパイダーズ!)もデイヴ・クラークもハル・ブレインも好きだったけれど、ジャズ・ドラムについては「ジャック・デジョネット神様」だったわけなのである。

その神様を40年ぶりで拝見した。

ジャック・デジョネットのドラムスタイルの特徴は左手の非常に細かい動きにある。
この人は左手ひとつでかるく三連符を打つのである。

昨日の話じゃないけれど、身体が細かく割れていないとこういう芸当はなかなかできない。

肩の力を抜いて、なんだかずいぶんゆっくり打っているように見えるのだけれど、スティックだけ目に見えないくらい細かい動きをしている。

結局2時間ずっとジャック・デジョネットのドラムばかり聴いていた。

うーむ。

武道もジャズも帰する所はひとつだな。


投稿者 uchida : 2004年05月03日 00:54

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コメント

「きわきわの予定調和」というコンセプトが先生の気質になじみがよいというのはうなづけました。
一般にドラマーは、野蛮、天然、無教養的なイメージがつきまといますが、ジャック・ディジョネットは4歳からクラッシック・ピアノを習い始めピアニストとして『ジャック・ディジョネット・ピアノアルバム』というピアノだけを演奏したリーダー作をリリースしていますし、『ディジョネット・コンプレックス』など他のリーダー作でもキーボードやピアニカなどを演奏しています。
打楽器奏者ながら他の楽器もこなし、高い音楽性をもつミュージシャンと、フランス現代思想の学者であり、合気道の武道家でもある先生。符合しますねー。
ちなみに私の神様は何年か前に神戸で握手してもらったスティーブ・ガットです。

投稿者 みつやす : 2004年05月05日 03:04

キースに美山の山菜料理、ですか。いい感じの連休でしたね。
そして、先生がドラマーだったと…はじめて知りました。

ディジョネット、確かにスゴイっすね。
特にキースのトリオ活動に入ってからはドラムの音の
キレが増して、わけてもシンバル捌きに関しては、
もはや前人未到の境地に達していると思います。
あの人って「ドラムをこう叩こう」とは考えず、
先にイメージしているサウンドがあって、
(それもトリオのアンサンブルの中で)
そこに動きがキャッチアップする…というパターンの典型。
でないとあんな音にならないです。きっと。

ま、キースのトリオは全員が「その状態」で
演奏しているはずで、キースが最近は他のメンバーと
まったく演らないのは、「その状態」がもはや
自然なことになってしまったからでしょう。いやはや。

投稿者 こーちゃん : 2004年05月06日 18:58

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