2020年8月


Archives

安倍政権の7年8カ月

 安倍政権7年8カ月をどう総括するかと問われたら、私は「知性と倫理性を著しく欠いた首相が長期にわたって政権の座にあったせ...


『沈黙する知性』韓国語版序文

 平川君とのラジオでの対談を収録した『沈黙する知性』の韓国語版が出ることになった。対談本の翻訳ははじめてである。僕の本は...


小津安二郎断想(10)「記号が受肉するとき」

『早春』に付したもの。  小津安二郎は勤め人の経験がなかった。だからサラリーマン生活は小津にとっては一種の「ファンタ...


小津安二郎断想(9)「問うことの暴力」

『東京暮色』に付したもの。 『東京暮色』は小津作品の中で際だって暗い映画である。常連のコメディ・リリーフである須賀不...


小津安二郎断想(8)「コミュニケーションの深度」

『お早よう』に付したもの。   『お早よう』は私にとって懐かしい映画である。それが私の生まれた街を舞台にしているからであ...


小津安二郎断想(7)「戦争について語らない男の話」

『秋刀魚の味』に付したもの。  小津安二郎は軍人が嫌いだった。戦争末期、参謀本部に戦意高揚映画の制作を命じられた小津はシ...


小津安二郎断想(6)「少年の図像学」

『彼岸花』に付されたもの。  女子大の教師をしていると、学生から結婚についてよく訊ねられる。 「どういう人が夫としてふさ...


小津安二郎断想(5)「悪いおじさんたちの話」

『秋日和』に付したもの  佐分利信、中村伸郎、北竜二、笠智衆が演じる旧制中学高校の同級生たちが、銀座のバーや大川べりの料...


小津安二郎断想(4)「最後の青年とその消滅」

『お茶漬けの味』に添付したもの。 『お茶漬の味』には鶴田浩二が演じる「ノンちゃん」という青年が出てくる。鶴田浩二はこのあ...


小津安二郎断想(3)「食卓の儀礼」

これは『麥秋』に添付されたもの。  古い映画を見ていると、テーマとも映像の芸術性ともぜんぜん関係ないことについ眼が行って...


小津安二郎断想(2)「子供はどうやって大人になるのか」

これは『晩春』が配本の時に書いたもの。    小津安二郎の映画はどれも「大人」はどのような場合に、どのようにふるまうのか...


小津安二郎断想(1)「通過儀礼としての小津映画」

来年度の大学のリカレント講義で映画論を講ずることになった。1本映画を観て、それについて小一時間語るという講義を3回。『秋...