改憲への道

2026-03-29 dimanche

 イラン戦争の状況が日替わりなので、この原稿が紙面に載る時には情勢がまた変わっているかも知れない。今日(27日)の時点では、トランプ大統領は最初48時間以内にホルムズ海峡が開放されない場合はイランの発電所を爆撃すると脅迫したが後に5日延期した。イランは湾岸諸国のエネルギーインフラへの報復攻撃で応じる答えている。どちらも実行されるかどうかはまだ分からない。トランプはイランでの作戦を「縮小する」可能性について先日言及したばかりだ。言うことが絶えず変遷する大統領の約束をどこまで信じられるのか、誰も知らない(トランプ自身も)。
 問題はそれに先立ってトランプ大統領が「日本には憲法上の制約があるが、必要とあれば支援してくれるだろう」と述べていることである。ウォルツ国連大使も「日本の首相が海上自衛隊による支援を約束した」と発言している。高市首相は「日本の法律の範囲内で、できることとできないことがある」と大統領には伝えており、自衛隊による支援を約束したとは述べていない。両者の言い分には天と地ほどの齟齬がある。
 大統領も国連大使も日本には憲法九条があることを知っている。知った上で「日本政府はホルムズ海峡に自衛艦を出すだろう」と述べているとしたら、そのメッセージは「改憲しろ」か「憲法なんか無視しろ」のどちらかに解するしかない。
これがもし高市首相との会談から米政府が得た結論だとしたら、高市首相は米国で「日本の法律の範囲内ではできないことがあるので、できるように憲法九条二項を廃絶したいと思います」と約束をしてきたと解する他ない。実際に高市首相が何を言ったのかは「外交の機微」にかかわるので開示できないそうだが、米政府はそう理解した。米政府には参戦を約束してその寵愛をつなぎ止め、国内向けには「改憲しないと米国との信頼関係が壊れる」と訴える。情けないほどわかりやすい。
(信濃毎日新聞3月27日)