中高生からの質問1

2026-04-08 mercredi

 少し前に長野県の松本秀峰という学校に行って、中高生相手の講演をした。その時にフロアからいろいろ質問があったのだけれど、時間が足りずに「訊きたいことがある人は、あとで先生を経由してメールしてください」と言って帰った。そしたら、しばらくして10個質問が届いた。
 そこで毎朝起きたら一つずつ質問に答えることにした。

その1「最後に本を出すとしたら、どのような内容、タイトルで書きたいですか」

 考えたことのない質問ですので、しばらく考え込んでしまいました。
 考えた末のお答えは「ぜんぜん見当がつかない」です。
 だいたい、自分がいつ死ぬか、わからないじゃないですか。明日死ぬかもしれないし、30年後かも知れない。
 その上で、死ぬ間際にまだ本が書けるくらいの体力・精神力があるとして、その時自分が何を考えているのか、正直言って、まったく想像ができません。
 だって、いま75歳ですけれど、60歳のときにだって「15年後の自分が何を考えているのか」なんてまったく想像できませんでしたからね。なんとなく「こんな生き方をしているんじゃないかな」と漠然とした予測はありましたけれど、その時予測していたのと「まるで違う人生」を今迎えております。
 僕は4月1日(わずか5日前ですよ)に学校法人神戸女学院の理事長に選任されてしまいました。生徒学生数あわせて3000人、教職員200人ほどのちょっとした中小企業の「社長」にいきなりさせられてしまった。ですから、これからは学校経営を主務としなければならない。武道と哲学の研究で余生を過ごす予定だったのに・・・これまで考えてもいなかった生活です。
 でも、大学の経営の心配をしていられるくらいならまだましです。日本はこれからどうなるかわかりません。エネルギー危機、経済危機を迎えて、日本人みんなが生き延びるのに必死ということになったら、やっぱり「どうやって生き延びるか」ということが主たる関心事になるはずです。あるいはアメリカの大統領や国防長官が「あんな」では、世界的な規模の戦争が起きる可能性だってゼロではありません。戦争が始まったら、やっぱり「どうやって戦争を止めるか」が主たる関心事になる。
 そういうものですよね。
 人生一寸先は闇。何が起こるかわかりません。ですから、「最後の本」を書いている時に、いったい自分の主たる関心事が何であるのか、見当もつかないのです。のんびりと琴棋詩酒についてでも書いていられると最高なんですけどね。そうなることを切望しております。