いろいろな人に会う

2009-05-24 dimanche

今週二度目の東京。
月曜から休校になったので、おとなしく家でお掃除やアイロンかけや模様替えをしていたのであるが、水曜に東京で『考える人』のための対談があって天現寺まででかける。
コーディネイターはいつもの橋本麻里さんと足立真穂さんの最強タッグ。
今回の対談相手は先般うちの学生たちがインターンシップでお世話になった女流義太夫の鶴澤寛也さんである(その節はほんとにお世話になりました)。
このシリーズではじめての女性ゲストであることを指摘されるまで気がつかなかった。
どうしてなんでしょうね、と訊かれる。
私の無意識的なセクシズムが露呈したのであろうか。
だとすれば、どうして今回に限り寛也さんがゲストに選ばれたのか。
「玲瓏な美女」だからであろうか。
容貌で差別化していたのだとすれば、ウチダはもはや申し開きのできぬセクシストである。
いや、そうではなくて、寛也さんが女流にしては例外的に自分の芸術について「メタ言語」で語れる人だからであるというふうに言い訳すると、「『例外的』とはどういうことか。それはふつうの女はメタ言語が語れないということか」とただちに追撃されることはあきらかであるので、「どうしてなんでしょうね」という問いは無言でスルーする。
たいへんに愉快な対談であったので、どうぞ『考える人』の次の号をお楽しみに。
寛也さんには、神戸女学院大学に今年度内に一度おいでいただいて、講演をしていただく約束をした。
みんな、たのしみにね。

木曜は終日原稿書き、金曜は大学で会議(インフルエンザ対策委員会)、それから文学部教授会と、教務課職員の歓送迎会でお寿司とケーキで歓談。
この会は寺嶋新教務部長の「歓迎」も兼ねていると教務課長は述べられていたが、よく考えてみると、ウチダ旧教務部長の「歓送」については言及がなかった。
きっと私はいつも教務課を天上からやさしく見守っている存在として、みなさん身近に感じられているのであろう(と勝手に解釈)。

土曜日は恒例の全日本合気道演武大会。
回を重ねること47回。
毎年書くことだが、私は1977年に日本武道館に会場が移ってからの33回すべてに出場している。
「よく続きますね」と言われるが、私は一度始めたことは「止められない止まらない」エビセン体質の人間なのである。
今回は大学休校中のため、学生たちは出場自粛。
多田塾甲南合気会18名で出場。
いろいろな人にお会いする。
三井吉俊先輩(都立大の院生時代の先輩)。
「中国から来た殺し屋」的外貌だが、18世紀フランス思想の碩学なのである。
サンミシェル通りでばったり会ったり、武道館でばったり会ったり、意外なところでよくばったり会う三井先輩である。
奥州道場の菅原さんと会う。
「6月13日なんで来ないのよ」と責められる。
どうもすみません。
菅原さんにいぢめられているところに坪井さんが通りかかる。
胸に飾ってある造花のサイズが去年より大きくなったことについて三者でしばらく意見交換。
自由が丘道場のブルーノくん、高畑さんと会う。
これはまあ当然である。
笹本さんと会う。
これも当然。
洗面所で歯を磨いていたら、ミシマ社の三島くんと会う。
これは意外だが、なんと三島くんは自由が丘道場に入門したので、私の「弟弟子」というものになったのである。
控え室で体操をしていたら、植芝守央道主にばったり会う。
「こんにちは」とご挨拶する。
演武が終わったところで本部指導部師範の入江さんにばったり会う。
「『合気道探求』の原稿どうなりました?」と訊くために私の演武が終わるのを袖で待っていたのである。
「ここなら絶対つかまると思って」
そうですよね。
原稿は送ったはずだが、届いていない由。
どうも「原稿つきました」というメールが来ないなと思っていたら、着いていなかったのである。
失礼しました。
宏心会の演武が始まるときに、二階席から手を振る。
工藤くんとのぶちゃんが手を振り返してくれる。
余裕である。
多田先生の演武をほれぼれと見つめる。
今年の受けは入江くん(本部の入江さんじゃなくて、その早稲田の後輩のヤング入江くんの方)、工藤くん、のぶちゃん、山川くん、平山さん、あとイタリアの青年。
演武大会が終わって、多田塾で集合写真。えらい人数である。
そのまま例のごとく九段会館のビアガーデンへ。
小堀さんとおしゃべりしながら歩く。
先日、うちの母親の歌集の装丁と製本をお願いしたので、そのお礼を申し上げる。
しかし、30年以上も来ることになるとは、あのころは思わなかったねえと九段坂を下りながら、しみじみ回想。
そして、恒例の多田塾ビアパーティ。
200人ほどいる。
高雄くん、工藤くん、のぶちゃんたちとおしゃべり。
早稲田と東大の学生たちが挨拶に来る。
「本,読んでます」と言ってくれる。
ありがとう。
多田先生をお見送りしてから、いつものように神田すずらん通りで二次会。
甲南の諸君は五月祭と日にちが合わなかったので、日帰りすると言っていたが、ぞろぞろついて来る。
どうやって帰る気なのか訊くと、ウッキーと廣末は「やっぱり泊まることにしました」。
また高畑さんの家が強襲されるらしい。
気の毒である。
気錬会の伊藤くん、芦葉くんを加えて、さらに合気道について熱く語り続け、深更に及ぶ。
翌日曜は小田嶋隆さんと対談したあと、福島みずほさんと対談するという、なんだかすごいダブルヘッダーである。
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