土曜日はトークセッション

2007-11-18 dimanche

土曜日は武者小路千家の若宗匠である千宗屋さんをお迎えして、「茶道・武術・舞踊-身体性の教育を探る」が本学講堂において開催された。
朝日新聞社と共催のパートナーズシンポジウムなので、広報活動を朝日新聞がしてくれた。
たちまち整理券はソールドアウト(無料だけど)。
学内外で数日前から「チケットないですか」という悲痛な声が行きかうプラチナチケット状態になったのである(入れなかったみなさん、ごめんなさい)。
千宗屋さんとお会いするのは3回目である。
最初は 2004 年の4月に鎌倉の鈴木晶先生のお宅で「鈴木先生のお家を、歩いて二分のところにお住まいの高橋源一郎さんと一緒に急襲して、鈴木先生の手作りのごちそうを食べ散らして、ワインセラーのワインを飲み倒す」会(略称「飲み倒す会」)をしたときのことである。
高橋さんがシャンペンのマグナムボトルを持って登場されたときにBBQに飛び入り参加されたのが高橋家に仕事の打ち合わせに来ていた加藤典洋さんと、たまたま遊びに来ていたお嬢さんの橋本麻里さんと、そのお友だちの千宗屋さんであった。
鈴木晶・灰島かりご夫妻に高橋源一郎、加藤典洋、橋本麻里、千宗屋そして私という今にして思うともう一度全員のスケジュールを合わせることのまことに困難なメンバーによる一期一会的BBQであったが、そのときはそんなこととはつゆ知らず、鈴木先生の作る美味しい料理を貪り喰い散らし、「ここだけの話だけどさ」「え・・・! そうなんですか、あの人って・・・」というような文壇論壇「ここだけの話シリーズ」に深更まで打ち興じたのである(おもしろかったなあ)。
二度目にお会いしたのは去年の7月の比叡山で梅若六郎さんの『翁』を見たとき。
このときの企画者は橋本麻里さんで、比叡山が地元(天台宗の僧侶でもある)の千さんに根本中堂をご案内いただいた。
ご一緒したのは、茂木健一郎さん、杉本博司画伯、ギャラリー小柳の小柳敦子さん、上智大学の黒川由紀子さん、デザイナーの原研哉さんと私。
そして、三回目の今回千さんとご一緒するのは甲野善紀先生と島﨑徹先生。
なぜか千さんといるときはいつも「めちゃ濃い」メンバーになる。
どうしてなんだろう。
私の仕切りでは心もとないと思ったのか、橋本麻里さんが長駆東京から応援に来てくれた。
新潮社の足立さん、朝日新書の石川さん、大学ランキングの小林さんもおいでになっている。
みなさん、ほんとに遠いところご苦労さまです。
今回は千さんメインの会である。
千さんをゲストに呼ぶことにしたのは足立さんのサジェッションによる。
半年ほど前にトークセッションのゲストを探しているんですよという話をしたときに足立さんから「千宗屋さんはどう?」と言われたのである。
足立さんは千さんと私が知り合いだということをご存じなかったのである。
言われてみて「おお、それはグッドアイディア」と膝を叩いて、すぐに橋本さんから千さんのアドレスを伺ってメールを送ったところ、ご快諾いただいたのである。
ご快諾の理由には、千さんのお姉さんが本学人間科学部の卒業生、お父さんが評議員をされていたという因縁もあったのである(昨日千さんから教えていただくまで知らなかった)。
実は二重三重の縁によって結ばれたシンポジウムだったのである。
まことに因果は糾える縄の如し。この世に「たまたま」ということはあまりないのである。
まず、千さんにキーノート・スピーチをしていただいてから、後半は四人でのトーク・セッションという構成。
話の内容はおもしろすぎて要約することができない。
私は茶道についてはまるで素人であるが、この伝統文化もまた「共-身体」を構築するための高深度のコミュニケーション技術であるということを知って驚嘆したのである。
そのことは千宗屋という人物自身がそこにいることで座の親密性と緊張感が同時に高まってゆくという事実によって聴衆全員にはっきりとご理解いただけたのではないかと思う。
千さんとは次は『考える人』で対談が予定されている。
そのときには官休庵で茶事を初体験できる。
まことに楽しみなことである。
朝日新聞社ならびに裏方の職員ご一同さま、お手伝いしてくれた学生諸君、懇親会を盛り上げてくれた甲南合気会の諸君、そしてフレンドリーなオーディエンスのみなさまに主催者を代表して(私に代表権はないのであるが)心よりお礼を申し上げたい。
みなさん、どうもありがとう。
次回をお楽しみに!
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