とほほの日々

2007-03-01 jeudi

風邪癒えず。四日目。
寝続けていたいが、ベッドのシーツや毛布がウィルスの巣窟と化しているような気がして、蒲団を干し、寝具を取り替えることにする。
蒲団を干したらすぐに雨が降ってくる。
しかたがないので、別の「お泊まり客用蒲団セット」を和室に敷いてそこで臥床(寝室はもう飽きた)。
輾転反側しているうちに『週刊ポスト』の取材の時間となる。
『狼少年のパラドクス』についての著者インタビュー。
ぼおっとしたままインタビューに答える。
写真をばしばし撮られるが、頭はぼさぼさ、目は赤く充血、目の下には黒々と隈ができている。
このように不健康で気勢の上がらない人間の顔を紙面に出した場合、読者たちが「この人の本を読みたい」という意欲をもつと考えることはむずかしい。
それにしてもどうして各メディアはあのように写真を撮りたがるのであろうか。
私は取材はできるだけ休みの日に受けるようにしているので、いきおい家で写真を撮られることになる。
家にいるときはジーンズにセーターにゴムゾーリである。
「カジュアル」というよりはむしろ「見苦しい」と形容するのが相応しいであろう。
そのような姿を写真に撮られても、世上に「ウチダというのは見苦しい男だ」と思われるだけである。
かといって、写真を撮られるからと、家の中をぱたぱた片付けたり、ふだんは袖も通さないようなブランドもののホームウェアを誂えるのは男子としての面目にかけて自分に許すことができぬ。
とはいえ、写真撮影全般を否定することもできない。
先般の無印良品の本のように、驚嘆すべき名作が撮られることもあるからね。
悩ましいところである。

取材が終わったので、またパジャマに着替えて一眠り。
5時半になったので家を出て肥後橋の朝日新聞社へ。
茂木健一郎さんとの朝カル対談である。
茂木さんとお会いするのは比叡山以来である。
相変わらず東奔西走お忙しそうである。
まだ熱が下がらないので、頭がぼおっとしたまま対談が始まる。
茂木さんが「今日は今までしゃべったことのないネタを話しましょう」とご提案くださったのであるが、何度もしゃべったネタでさえ口が回るかどうかわからない的危機にある私にそのような芸当ができるであろうか。
とにかく何とか間を持たせねば・・・と必死でしゃべる。
しかし、頭がぼけているときのつねとして、途中で自分が何をしゃべっているのかわからなくなりセンテンスを言い終わるまでにやたら時間がかかる。
茂木さんがせっかく「イノベーティヴに思考するとはどういうことか」という大きなテーマを提示してくださっているのに、さっぱりそちらへ収斂せずに、とりとめのない話を取り散らかしたままで90分が終わる。
茂木さん、ごめんなさい。会場のみなさん、どうもすみませんでした。
また修行して出直して参ります。
終わると熱が出てきたので、ご来場の方々とのいつもの「プチ打ち上げ」もなく、ソッコーで帰宅。そのまま死に寝。
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