スリープレス週末

2006-10-30 lundi

週末は学祭。
木曜の夕方から仕込み。そのあと少しお稽古をしてリハーサル。
金曜は朝からお稽古をして、お昼の本番を迎える。お客は10人弱くらい(演武者の方がぜんぜん多い)。
ウィークデイの昼間から女子大の学祭に山を登って来るのは「ボーミミーツガール」系のモチベーションの方々が主であるので、しかたがないのである。
演武会のあとソッコーで家に戻ってカレーの仕込み。一休みしてから大学に戻り、6時から会議。
会議が終わったのが(というか、「もう電車がありません」と泣きがはいったのが)11時半。
同一議題でこれで10時間議論したことになる。
会議の有効時間は1時間まで、というのが私の経験則である。
それを超えるのは次のような場合である。

(1)その会議では決めることのできないファクターを大量に含む議案を審議している
(2)その会議がなにかを決めるためではなく、何かを決めないために開かれている
(3)上記1,2の条件を満たす会議にそれと知らずに出席してしまうほどに知的にチャレンジドな人間を多く出席者に含んでいる

私からご提案したいことがある。
会議の出席者 X 会議時間 = 会議MH (Man x hour)
という単位を作るというものである。
この会議MHを議決案件数で除すると1議案当たりに費消されたMHが算出される。
10人出席の会議で、会議時間が1時間で議案2件を処理した場合、1議案当たりのMHは5となる。
これはその会議の議長の「成績」である。
これを学内のすべての会議について算出する。
そして、各会議の議長の1会議あたりの平均MHが出たら、それで「会議を早く済ませる議長ランキング」を作って公開する。
MHを下げるためには、上記の「エンドレスで続く会議」の条件を回避すればよろしい。
すなわち

(1)その場にいない人間や組織の意向を配慮しなければならない議案は審議しない
(2)所定の時間内に採決できないような議案は審議しない

の二点である。
私はこの「会議早回しランキング」では本学においては人間科学部のN田先生とチャンピオンを争う用意がある。
基本的な議事能力(執拗な反対者がいそうな議案は一瞬のうちに「継続審議」箱に放り込んで「じゃ、次の議題行きましょう」にスルーする技術など)については私とてN田先生には遜色がないと踏んでいるのであるが、「単位時間当たりの発語量」において、私がやや劣勢なのである。

土曜日は学祭二日目。
好天に恵まれて、前日よりは参加者が多い。
甲南合気会からはドクター佐藤、イシダ社長、タニオさん、タカモトさん、“謎の主婦” イノウエさんが参加。
気錬会OBはタカオくん、のぶちゃん、Pちゃん。
タカオの「Pちゃん首折り演武」とのぶちゃんの「エンドレス演武」とPちゃんの「シオちゃんごめんね演武」の爆笑三部作が大受け。
歴代合気道部主将も8代のカナぴょんから、エグッチ、シオちゃん、ヤベッチ、ウッキー、ナオタロウ、カヨちゃん、そして当代の永山主将まで8代勢揃い。
風邪で熱があるのにクーも来て、得意の「猫受け身」をご披露。
飯田先生、溝口さん、大西さん、セトッチ・・・お忙しい中をほんとうにありがとうございました。
ここ二三年ウッキーが独占していた最多出場(いちばん人気のある受け手賞)は復活エグッチがみごと受賞。
これはどのような入力の変化に対しても即時対応できる高度のコミュニケーション能力を備えている(と同門の人々から思われている)ことのあかしであり、その点では二重の栄誉なのである。
門人諸君はこの栄誉を求めてさらに努力を怠らぬよう。

片付けのあと、わが家に集って、さっそく打ち上げ宴会。
今回の一品持ち寄りのテーマは「癒し」。
どういうわけか「癒し」的料理というと、人々は「芋を使った料理」と「オーブンを使った料理」を発想するらしいということを発見(かなぴょんの「里芋のグラタン」がその究極形であった)。
「今日は人が少ないですね〜」とみなさんが口々に感想を述べる。
居間と和室と台所に25人くらい人がひしめいているのに「少ない」と感じるということから、いつもどれくらいの人口密度で宴会をしているのかが推察されるのである。
11時にみなさんお帰りになる。
みなさん、お疲れさまでした。

しかし、ゆっくり寝てもいられない。
あけて日曜日は應典院の寺子屋トーク。
昼過ぎに釈老師が迎えに来られるので、その前に本日締め切りの讀賣新聞の原稿を書き上げる。
老師のワーゲンで松屋町筋の應典院へ。
「死者とのコミュニケーションは可能か?」というお題である。
前半が二人で1時間半ほど対談して、後半1時間が質疑応答。
「死者とのコミュニケーションは可能か?」というと、イタコ修業というか細木数子のような話になってしまうので、「死者」の定義と「コミュニケーション」の定義を変えるところから始めないといけないのである。
二部の途中で、イラチな客が「無駄話ばかりして質疑応答になってない」と異議申し立てをする。
「死者とのコミュニケーションは可能かという問いにさっぱり答えてないじゃないか。早く答えろ。200字以内に」というような趣旨のご異議であったかに拝察する。
私たちはちょどそのとき、死というのは時間的な現象であるので、無時間モデルで一望俯瞰的には表象することができないという話をしているところであった。
「そんなごたついた話はいいから、はやく結論を言え」と望むこの客はどうも「時間」という概念そのものが理解できない人のようであった。
「時間内存在としての人間」という概念を理解できていない人間に死について理解してもらうことは絶望的に困難であるので、そのむねを簡潔に申し上げる。
簡潔すぎたのでおそらく多くの聴衆の耳には「おっさん、なめたらあかんど。わしらほんまはおっさんと勝負にならんくらいイラチなんねんど」としか聞こえなかったであろう。
「浄土宗新聞」のインタビューを受けつつ、打ち上げプチ宴会を30分ほどでお邪魔して、家に戻りシャワーを浴びるともうまぶたが重くなる。
そのまま午後6時にベッドに潜り込んで爆睡。
まことに、充実した、しかし多忙な週末でありました。
寺子屋トークご参会のみなさま、江さん、青山さん、かんきちくん、ウッキー、ドイさん。それから應典院の秋田老師、山口さん、どうもありがとうございました(うちの副専攻のアートマネジメントのインターンシップ受け容れ、ほんとにお願いしますね)。
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