ブルーノくんヨシエさん、またね

2006-09-24 dimanche

フランスから日本旅行に来ていたブルーノ・シャルトンくんと高橋芳枝さんが 10 日ほどの旅行を終えて、帰国した。
東京、京都と移動して、最後の二日は芦屋泊まり。
うちの隣の竹園ホテルに二泊して、二晩ゆっくりしゃべって飲んだ。
最初の夜は、ブルーノくんが食べたことのないという北京風水餃子を私が作る。
シャンペンで始めて、冷や奴と日本酒、餃子とビール、最後にディジェスティフにカルバドス。
二日目は三宮の國分さんのところへ行く。
『ステーキハウスKOKUBU』でブルーノくんが食べたことにないような神戸牛(おお、アンクロワイヤーブルです!)をごちそうして、ここでも生ビールをワイン赤白。
それから Re-set に移動して、スコッチとシガー。
さすがに二日続けの大量飲酒によって土曜日の朝は全身の血液がすべて肝臓においてアセトアルデヒド分解活動に従事しているため、それ以外の身体部位は機能していない。
ぼおおっとしながら車でおふたりを関空までお送りする。
車中ではあまり話がはずまない。
ふたりともぽつりぽつりと「帰りたくないね」「うん、帰りたくないね」と繰り返すばかり。
私は三週間もフランスにいると、「はやく日本に帰りたい! ラーメン食べたい、うどん食べたい、カツカレー食べたい」ともう帰心矢の如しなのであるが、彼らはどうも様子が違う。
このままずっと日本にいて、日本のご飯を食べて暮らしたいらしい。
ブルーノくんは初来日であり、あまりに期待が肥大しているので、出発前に「あまり期待すると失望が深いから、とにかく期待しないほうがいいよ。日本て、つまんない国だよ」とパリでさんざん言ってきかせておいたのであるが、期待にはちきれそうになってやってきて、その期待がすべて満たされてしまって、「ああ、日本はやはり夢の国です」と涙ぐんでいる。
関空で手を振って別れるときに、ふたりとも全身で「去りがたい」という思いを表現していた。
あれほど飛行機に乗るのを「いやがっている」人の姿を見るのは珍しい。
もうパリに戻って二日目になるはずだれど、きっと二人ともまだフランスに順応できず、浅草や金閣寺や鎌倉や嵐山やお好み焼きの話をして、日本土産をみつめてため息をついているのだろう。
気の毒である。
ブルーノくんたちは来年もまた来るそうである。
今度は予定を合わせて合気道の合宿に参加してもらう。
合宿なんか来た日には、楽しすぎて、「もうフランスには帰りません!」ということになるのではないかと心配である。
いずれ神戸でフランシュ=コンテ料理のレストランとワインバーを開きたいという彼らの夢が一日もはやく叶うことを願っている。
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