Why do only fools pay the tax?

2006-06-30 vendredi

朝起きたら税務署から奇妙な封書が届いていた。
「消費税課税事業者届け出」をしろという知らせである。
は?
昨年度の課税売り上げ高(収入から消費税が課税されない収入を差し引いた金額)が1,000万円を超える事業者は来年から消費税の課税事業者となるから届け出をしろというのである。
意味がわからない。
私の収入は給与と原稿料と印税と講演料だけである。
そのすべてで所得税が源泉徴収されており、さらに確定申告で新車一台分の税金を追い払いしていることはご案内の通りである。
で、さらに消費税。
そ、それは何ですか?
それは私が給与や原稿料を受け取るときに、「あ、消費税分5%上乗せしてください」と言えってことなのか?
私がそう言えば、出版社は「はいはい」と5%増しの原稿料を私に払ってくれるということなのか?
意味がよくわからない。
なんだか違うような気がする。
では、どうするのか。
これまでの所得税の他に毎年所得の5%を消費税分としてさらに税務当局にむしり取られるということなのか(そ、そんな)。
さらに読み進むと「納付すべき消費税額は、課税売り上げに係わる消費税額から、課税仕入れ等に係わる消費税額を差し引いた金額です。課税仕入れ等に係わる消費税額を控除するためには、原則として課税仕入れ等の事実を記録した帳簿及び課税仕入れ等の事実を証する請求書等の両方の保存が必要です」と書いてある。
ということは、私はこれからすべての経費の出納を毎日帳簿につけておかなければならないということか。
勘弁して欲しい。
私は決して吝嗇な人間ではない。
むしろ「太っ腹な」人間だと申し上げてよろしいであろう。
これまでもいつもにこやかに税金をお支払いしてきた。
納税は国民の義務である以上当然のことである。
しかし、「帳簿を付けろ」というのはそれとは話の筋目が違うのではないか。
収入を多いのだから「もっと税金を払え」ということは条理にかなっている。
だが、おまえは収入が多いのだから「もっと仕事をしろ」というのは筋が通らない。
「金なら払う」と言っているのに、税務署は「金はいいからお前の時間をよこせ」と言ってくるのである。
それはおかしいだろう。
律令の昔から、租庸調の「庸」(ほんらいは年間20日の労役)は物納による代納が許されていた。
班田収授法の時代から、すでに「金と時間は別物で、金は払うが、時間は渡さない」と日本の良民たちはお上にきっぱり告げていたのである。
「帳簿を付けたり請求書を整理したりする」労役は「庸」である。
だが、税務当局は納税業務のために割かれる労働時間をこれを「庸」としては認めていない。彼らはこれを「ゼロ査定」している。
おそらく「そういうこと」がまったく苦にならないタイプの人間たちだけで国税局が構成されているせいなのであろう。
だが、世の中には「そういうこと」をしなければならないと考えただけで死にたくなるようなタイプの人間もいる(私がそうだ)。
そのような人間の結論は論理的に言って「では、できるだけ仕事をしないで、できるだけ納税にかかわることとは無縁な人生を送ろう」というものに落ち着くに決まっている。
少なくとも私の勤労意欲はこの一枚の役所からの書類によって95%方減殺したことをここにご報告せねばならない。
税務当局の方々は、良民の勤労意欲納税意欲をかくも劇的に低下させることを通じていったいいかなる国家目的を達成しようと考えておられるのか?
私には理解が及ばない。
--------