右の犬歯がぐらぐらしてきたのでE阪歯科に行って抜いてもらう。
いてて。
このあと残った歯にインプラントして、三本セットで再構築する予定。
しばらく「歯なし」だから左側だけでご飯を食べなければいけない。
よくできているね人間の身体は。
どちらかがいかれてももうワンセット残っているから。
麻酔で顔の右半分が無感覚な状態で大学に行く。
会議。
なかなか「落としどころ」が決まらずに2時間ほど議論が続く。
大学の仕事が授業だけならこれほど愉快な職場はないが、会議があるので、大学に行くのがだんだん気鬱になる。
よろよろと家に戻ってから三宅先生のところへ。
過労であちこちがたがた。
ほぐしてもらうと身体がすこしほっこりする。
おみやげに「濁り酒」を二本頂く。
メールをチェックすると、あちこちから仕事の依頼が来ている。
「団塊の世代にひとこと」「私のお薦めの本」「日本人の集団主義について」「村上春樹はどうでしょう」「お金と幸福」「親子論」などなど。
私の意見なんかきいてどうしようというのであろうか。
よくわからない。
おそらく昨日のIT秘書と同じく、非人情なステートメントを求めておられるのであろう。
「不人情」と「非人情」は違う。
「不人情」は「こういうことをやると相手が傷つくであろう」ということがわかっていながら自己利益を確保するために「ひどいこと」をする性向である。
「非人情」というのは、無作為に、とくに自己利益とは無関係に、オートマティックに「ひどいこと」を言ったりしたりする性向のことである。
私は自分を頼ってきた人間を切り捨てるような不人情なことはしない。
でも、自分を頼ってきた人間が「いることを忘れる」ことはよくある。
金に困った友人がいて、金惜しさに「やだ」に言うのは不人情である。
「いいよ、貸してあげる」とにっこり笑って言っておきながら貸すのを忘れてしまうのが非人情である。
昨日、車で家に帰る途中、IT秘書が途中で用足しに車から降りた。
対向車が来たので、少し前に出て左に寄ったら、IT秘書が青ざめて追いかけてきて「ぼくのこと置いてくつもりじゃないかと思って」と心配そうな顔をした。
「まさか」と私は笑った。
「ぼくがそんなイジワルなことするわけないじゃないか。キミがいたことを忘れて走り出すことはあってもさ」
「・・・ははははは、そうですよね」
車内はしばらく冷え冷えとした空気に包まれた。
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(2006-04-19 20:34)