謝恩会だよおっかさん

2006-03-18 samedi

謝恩会は例によってリッツカールトン大阪。
着物で行くつもりだったが、日経と共同通信の月一エッセイの締め切りだったので、夕方まで必死にキーボードを叩いていて、半襟を縫いつける時間がなくなり、しかたなくスーツででかける。
少し早めに梅田に出て、本屋で藤原正彦『国家の品格』を購入。
だいぶ前に献本で頂いたのだが、読まないうちに誰かが「これ、もらっていいですか?」「うん、いいよ」的展開で持って行ってしまったのである。
朝日新聞からこの本について意見を述べよというご依頼があったので、読むことにしたのである。
なにしろ100万部のベストセラーである。
いいなあ。
次出る新書は角川の『態度が悪くてすみません』だけれど、100万部売れないことについては書いた本人が自信をもって断言できるのである。
100万部売れる本を書くコツは・・・という不純な関心でハービスのロビーでさくさくと読み進める。
謝恩会の始まる時間になったので、会場に駆け込む。
シャンペンで乾杯して、ごうじゃすな着物やドレスのゼミ生諸君と歓談。
ゼミ生からどでかい贈り物をもらう。
中身はオランウータンの巨大ぬいぐるみ(小学生くらいの大きさ)。
ゼミ生諸君の話によると「ミッフィーちゃんに負けない」というテーマでお選びになったそうである。
知らない人には意味わかんないですね。
以前、合気道部員から誕生日のお祝いにミッフィーちゃんの巨大ぬいぐるみをもらったことがある。
黄色いものを家の南側においておくと風水的によろしいということでお贈りくださったのである。
それをずっとソファーの上に転がしておいたのだが、私のハードボイルドでコールドブラッドな書斎の真ん中にころんとミッフィーちゃんが鎮座している風景がよほどミスマッチであるらしく、はじめて来る客は必ず息を呑む。
ときどき勇敢な人がいて「あの・・・ウチダ先生、こういうのがご趣味で・・・」と訊いてくる。
まさかね。
ゼミ生たちもわが家で宴会をしているうちに、どうもミッフィーちゃんの存在感に圧倒されたらしく、「ミッフィーちゃんに負けたくない」というひそやかな欲望が芽生えたのであろう。
というわけで今回頂いたぬいぐるみは「打倒ミッフィー」というコンセプトでお選び頂いたもので、その分巨大なのである。
「センセイ、名前をつけてください」とゼミ生たちがせきたてるので、「ひらおくん」と命名する。
別に他意はない。
朝方三宅先生のところで平尾さんに会ったばかりなので、なんとなく。
ワイルドでかわいいから。
平尾さん、見に来てくださいね。
どんなものか見たい人はミクシイでご覧ください。
酒豪娘ササキさんからは手縫いのエプロンを頂く。
これでたくさんご飯をつくって私たちに食べさせて下さいという祈りを込めて前夜必死に縫い上げられたそうである。
佳話である。
みなさんありがとう(と涙をぬぐう)。
その分となりのハービスエントに移っての二次会では豪快に飲み食いしてくれた。
お勘定を払おうとしたら、50ccのバイクの新車一台分だった。
レクサスに続いて、さよならヴィーノ。
みなさん、ご卒業おめでとうございました。
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