業務連絡

2006-02-09 jeudi

うっかりしていたが、もうすぐカウンターが500万になる。
「そろそろ500万ですから、景品のお知らせした方がいいですよ」とキーボードを叩いてアンチ・ウィルスをインストールしていたクールなIT秘書が警告してくれた。
おお、そうか。
どうすればいいのかね。
「切りのいい500万ですから、今度は前後賞あわせて5人くらいに賞品出しましょう」
そ、そうだね。
私はことPC関係のことについてはIT秘書室に丸投げしているので、おとなしく指示に従う。
「賞品って、何がいいの?」
秘書は首を90度だけ曲げて、冷たい横顔をみせながら
「新刊でしょ」
と当然のことのようにつぶやき、また90度首をもとに戻した。
そ、そうだよね。
新刊って、でもどの本のことだろう。
「あのさ、新刊っていってもいろいろあるんだよ。『憲法本』とか『角川新書』とか『甲野先生対談本』とか『三砂先生対談本』とか『橋本先生対談本』とか『養老先生対談本』とか『東京ファイティングキッズ2』とか『私家版・ユダヤ文化論』とか・・・どれがいいんだろ」
秘書はこんどは85度くらい首をまげて、ふたたび冷たい横顔をみせながら(どうも秘書は横顔に自信があるみたいだ)
「なもんいちばん最初に出た本でいいじゃないですか」
と最小限の語数で告げた。
や、おっしゃるとおり。
秘書はいつでも正確無比、間然するところのない受け答えをする。
どうも私は秘書の機嫌を損ねてしまったようである。
というか、この秘書は私が彼の機嫌を損ねるような粗忽な言動を繰り返すのを眺めることを趣味としている気配も見られるので、私は「秘書の機嫌を損ねることを通じて、彼の趣味に貢献している」という複雑な立ち位置を取らされているような気もする。
だとすれば、誰かの機嫌を損ねることは私の骨がらみの趣味であるから、この主従関係はたいへんうまが合っているともいえるのである。
こういうことを書くと1時間おきに私のブログをチェックしている秘書は「またろくでもないことを書いて・・・」と機嫌を損ねるわけで、主従関係は明日も円滑に機能するのである。
というわけで業務連絡でした(どこが)。
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