『街場のアメリカ論』の誤植問題について、複数の方々から「あの間違いはウチダさんのフロイト的失錯行為ではないか」というご指摘を頂いた。
そこまで言われては誤植を公開するしかない。
私は「子ども嫌い」(pedophobia) と書くべきところに philophobia と表記したのである。
訳せば「愛嫌い」「愛すること恐怖症」である。
あらゆる失錯はその人の抑圧された欲望の代理表象であるというフロイト老師の説を信じるならば、私は「アメリカ人は愛することを恐れている」という(私自身にも意識されていない)抑圧されたメッセージをこの失錯を通じて迂回的に表現したのである。
誤記についてもうひとつ。
先般私は『下流社会』という本を紹介するときに間違えて『下流生活』と誤記した。
どうしてそういう間違いを犯したのか、これもまた分析的には興味深いことであるが、これには後日談がある。
大瀧詠一老師はときどき私のブログ日記をご高覧になられているのであるが、三浦さんのこの本を私が論評しているのを読まれて、おもしろそうだからアマゾンで取り寄せようとお考えになった。
アマゾンでちゃかちゃかと検索したところ、「下流生活」にヒットしたのは『ひとめでわかる!図解川釣り入門 渓流から下流・湖沼までたのしめる』であった。
その顛末を師匠からご指摘頂いて、恥じ入ったのであるが、さらに後日談があって。
その間違いご指摘メールの末尾に大瀧師匠は「センセの『街角のアメリカ論』も評判ですね」と書かれていたのである。
師匠! それは『街場のアメリカ論』。
追記:と書いたら、大瀧師匠から「ツッコミのネタ」のご恵与を賜ったので、謹んで再録させて頂きたい。
「師匠!『街角』って、ワタシぁデル・シャノンですかい?!」
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(2005-11-10 15:54)