夏休み最後の日

2005-09-23 vendredi

休日だが、もちろん休む暇とてない。
まず『エピス』の原稿。
今回は『シン・シティ』。
これはたいへんに面白かった。
『チャーリーとチョコレート工場』『シン・シティ』と楽しい映画が続いて、映画評を書く方としてはたいへんありがたい。
書くことがたくさんある。
ほんとうはタランティーノとサム・ペキンパの説話的類似性について書きたかったのだけど、それを書き出すと紙面一枚使い切りそうなので、断念。
さらさらと書き上げる。
つづいて『潮』の原稿。
好きなことを1200字書いていいというお気楽な条件なので、これもさらさらと書く。
続いて、『ユダヤ・イスラエル文化研究』に寄稿する書評にとりかかる。
私はイス研の理事なのだけれど、理事会には一度きりしか出ず、学会のお仕事に何の貢献もしていないので、書評くらいは書かないと、学会員の方々に会わせる顔がないのである。
レオン・ポリアコフの『反ユダヤ主義の歴史1』(菅野賢治訳、筑摩書房)について書けと命じられている。
オリジナルの仏語版を20年前くらいに読んだきりなので、とりあえず再読する。
午後2時から6時まで身じろぎもしないで読了。
途中NTTのM島くんから再校のファックスが来る。
んぐんぐぐと音を立ててファックスからべろんと紙が垂れる。
たいへん人を不安にさせる音である。
さいわい、50センチくらいで終わる。
『文學界』の校正ファックスはいつも3メートルくらいあった。
疲れ切って家に帰ったときに床に数メートルのファックス用紙がぐちゃっと広がっていると、気分が深く沈むものである。
連載が終わってほんとうによかった。
ファックスとメールで届いた校正箇所を直してすぐに送信。
350頁一気読みするとさすがに首がばりばりに凝る。
風呂に浸かって首の凝りをほぐす。
夕食を作る元気もなく、近くのモスバでロースカツバーガーとチリドッグを買ってきて、ビールを飲みながら食べる。
疲れすぎて味がしない。
そこにvaioのノートが届く。
明日の東京行きに持ってゆくことにして、初期設定する。
インターネット接続は秘書にやってもらうことにして、とりあえず出先で原稿を書けるようにしておく。
vaioのノートは1.25キロ。こりゃ軽い。重たいパワーブックを持ち運ばなくてよくなったのは助かる。
明日は上智大学で研究会。『他者と死者』についての読書会である。
何も準備していないので、行きがけの新幹線の中で何か話すことを考えないといけない。
自分の書いた本のことだから、何とかなるとは思うけど。
わざわざ関西から呼びつけておいて、みんなで手ぐすねひいて袋だたきにするというような非道なことはまさかされないとは思うが、いささか心配である。
日曜日はインタビューを二つやってから、本部道場で多田先生のお稽古に出る予定。
晩に新幹線に乗るときはおそらく半死状態になっていることであろう。
そして月曜からは新学期。
結局、この夏休みはほとんど休めなかったことになる。
昨日の教授会で隣にすわっていたワルモノ先生も夏休みはほとんど休めなかったとためいきをついていた。
おたがいこういう生き方をそろそろ改めないとね。
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