牡丹園別館でフカヒレ、帝国ホテルラウンジでギムレット

2005-08-13 samedi

11日は「四巨頭」会談。
場所は三宮牡丹園別館。
ここはオーナーご自身が三宅先生の患者さんであるので、たいへんご丁重なおもてなしを受ける。
お二人とも声望ある治療者だから、松本で池上先生にくっついて歩いているときも、阪神間で三宅先生にくっついて歩いているときも、行く先々で「先生!」と声がかかる。
当然、「あ、その後どう?」「は、おかげさまで・・・あ、先生、これはつまらないものですが」「いやいや、お気遣いなく」的な展開となるわけである。
で、私のような金魚の糞はその「お気遣い」の余慶に浴して「海老」とか「フカヒレ」とかをばりばり食す機会に恵まれたりもするのである。
水戸黄門に付き従う従者たちの数がしだいに増えるのと一般である。
今回は池上先生ご夫妻と悟朗さん、三宅先生ご夫妻と将喜さん、山本画伯と森永さん、そして私が「黄門さまご一行」。
会の趣旨上、「誰がいちばん頭が大きい」のか、「誰がいちばん自分勝手な人間であるか」のかについての考課がさっそく話題となる。
私と画伯が「態度の大きいのはウチダくんでしょう」「いやいや画伯には勝てません」と栄誉をおしつけあっていると、悟朗さんがその栄誉はぜひ父に・・・と割って入る。
聴けばご家族の方々はまことに尋常ならざる辛酸をなめてこられたようである。
池上先生の我が道を粛々と歩む孤影を仰ぎ、先生の「巨頭」ぶりは私ども若輩の遠く足下に及ぶものではないことを改めて思い知った一夕であった。
その池上先生にお会いしてすぐに治療して頂いたのであるが、「最近見た患者の中でいちばんひどいのが三宅さん、二番目がウチダ先生」と言われてしまった。
来週こそは休まねば。
三宅先生ご馳走様でした! 池上先生ありがとうございました。

12日は「いろいろな人に毎日会うシリーズ」第三夜(とりあえず今週はこれでおしまい)
第三夜のお相手は宮崎哲弥さん。
『ため倫』でのたいへんぶしつけなウチダ発言から先般の『インターネット持仏堂』への宮崎さんのたいへんありがたい書評に至る経緯についてはすでにご案内の通りである。
今回の対面のプロデュースは “憂い顔の” エディターの安藤聡さん。
宮崎・ウチダ対談本というものを企画されているらしい。
しかし、先方はプロの評論家であり、私は市井の床屋政談家。
長屋の熊さんが大家さんにお話を伺うような調子で「え、それ何ですか?」「え、それ誰ですか?」というような初歩的な質問ばかりで話がさっぱり前に進まないということになりはしないかと深く危惧されるのである。
現に昨夜の会談でも、宮崎さんの話題に出てきた人名の60%くらいは「名前だけ知っているけど、どんな人か知らない」人、30%は「名前も知らない」人であった・・・ってことは話がわかって相づちを打っていたのは10%だけで、残る90%は想像で隙間を補填していたわけである)。
まして言及される書物のほとんどについては私がその存在さえ知らぬものであった。
かかる情報の非対称性を放置したままの対談企画など進めてよろしいのであろうかと安藤さんの剛胆さにも一抹の不安を禁じ得ないのである。
帝国ホテルのラウンジでバーボンソーダを飲みながら歓談させて頂いたのであるが、途中でK同通信から電話が入って、「小泉首相は8月15日に靖国参拝するか」という問いに宮崎さんがコメントをしていた。
どうなんですかとお伺いすると「100%ない」と断言される。
理由はアメリカの「お家の事情」(詳細は新聞を読んでください)
私は参拝するんじゃないかと思っていたので、この予測にはびっくり。
「じゃ、賭けましょうか?」
とオッファーしたら、宮崎さん笑って「いいですよ。100万賭けましょう」
小心なウチダは肝をつぶして「じゃ、いいです」とただちに撤回。
でも、15日に「げ、あのとき握っておけばよかった!」と悔しがることになるかもしれない。
この日は『だんじり本』の打ち上げも兼ねることになっていたので、江さんが途中から登場。
ただちに大阪メディア事情についての話題になる。
宮崎さんは東京で4本、大阪で4本テレビラジオのレギュラーを抱えているそうで、毎週大阪に来られている。
先日はある番組で名越先生といっしょになり、そのときに名越先生に「今度会うんだけど、ウチダさんて、どんな人?」と訊いてみたそうである(酔っぱらうと暴れたりする人ではないかとひそかに懸念されていたのである)。
宮崎さんは「面白い人ですよって言ってました」と笑っておられたが、もっと「それ以外のこと」も絶対言ってるはずである、名越先生は。
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