秘書に教わるパソコン心得

2005-07-16 samedi

たいへんあちこちにご心配をおかけしたが、イワモト秘書が登場して、biosというところに不具合があったということのようで、それを再インストールすることで、頓死したパソコンは不死身のように甦った。
このテクストがその蘇生の記念すべき最初のものである。
秘書に「ねえ、どこが壊れたの?」
と質問したのであるが、
「OSの土台のところが壊れてたんです。はい、説明おわり」というまるで幼稚園の先生が園児の執拗な質問を切り上げるようなクールな応答に終始する。
てきぱきと仕事を終えて、かばんに道具をしまいながら秘書はふと顔をあげて、
「先生、故障のトリガーとなったのは、先生のパソコンに対する愛情のなさです」ときっぱりと告げたのである。
「先生、パソコンデスクの上に、虫湧いてましたよ」
「え?」
「コーヒーのみこぼしたあと拭いてなかったでしょう。そこに小さな虫がうじゃうじゃいました」
「へえ、コーヒーから虫が湧くか」
「先生! そういう問題じゃなくて、コーヒーこぼしたら拭きましょうよ! ディスプレイも、キーボードもそこらじゅう埃となんだか汚いものでべとべとじゃないですか!」
「す、すみません」
「パソコンだって人間と同じで、使用者の愛情がないとぐれるちゃうんですから」
すまない。
秘書にもIBMのパソコンさんにも申し訳ないことをした。
これからはどら焼きを食べた指をこすりつけたり、ラーメンの汁を飛ばしながらキーボードを打つようなことはしません。
ごめんなさい。
許して。
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