ノシイカ男の末路

2005-05-10 mardi

広島での講習会が終了。
筋肉痛で芦屋に戻る。
ふだんの稽古ではほとんど受身をとることがない(口先で指導しているだけだから)。
口腔周辺の筋肉の発達が下半身のへたりによってトレードオフされているわけである。
入り身投げで二三回投げられただけで、もう起き上がるのがめんどくさくなってしまった。
そのままたたみに寝ているわけにもゆかずのろのろ起き上がると、またぱこんと投げられて、畳の上でノシイカ状態になる。
なんだか不貞腐れたおじさんだなあと広島の学生諸君には思われたであろう。
すまぬ。むかしはもっと軽快に動けたんですけど。
久しぶりに大汗をかく。
初日は神戸の一行15名に、気錬会のヒロタカくんと高谷さん、早稲田の入江くん、月窓寺の(というか島根の)石井くんもお見えになって、プチ多田塾合宿状態。
稽古のあと多田塾のみなさんと連れ立って韓国料理を食べに行き、大量の辛いものと大量の生ビールを嚥下する。
二日目は四国の守さんもおいでになる。
お昼の稽古終了後に、いつものように「みっちゃん」で広島焼。
はじめて多田先生の稽古を受けられた守さんに感想をお聞きして、意拳も合気道も帰するところひとつですねえという話でもりあがる。
駅で「にしき堂」のもみじ饅頭をお土産に買って、恒例の行事が終了する。
多田先生二日間ありがとうございました。
北平先生はじめ広島県支部のみなさんお世話になりました。また来年もよろしくお願いいたします。
家に戻ってお風呂に入ると睡魔が襲ってくる。
そのまま爆睡。
深夜めざめ、枕頭の村上龍の『半島を出よ』の最後の三分の一を一気に読み終える。
物語の最後で、近未来において九州がアジアのハブになる(毒蛇のことではないよ)という話がちらっと出てくる。
この未来予測はかなりの確度で当たるような気がする。
日本の中央政府の締め付けが緩んで、地方分権が進行するということが前提だが、それはおそらく不可避的な流れだろう。
島根県議会で「竹島の日」を制定したことが国際問題になったが、これはある意味では地方自治体が中央から距離をおいたかたちで独自の外交的な意思表示を示しうるということを証明してみせた。
島根とは逆の文脈で、たとえば九州が独自の「アジア外交」を展開する可能性はある。
おそらく東アジアの政治的再編は国政レベルでの外交折衝、民間レベルでの「グラスルーツ」での結びつきに加えて、地域政治・地域経済のレベルでの国政よりも多少「フライング」気味のネットワーク形成が深く関与することになるような気がする。
気がするだけですけど。
それにしても『半島を出よ』は面白いです。
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