銀座の恋のソナタ

2005-04-19 mardi

『初恋』を見終わる。
全66話。一話70分。
計77時間。
よくぞここまで。
終わってしまうと、「続き」が見たくなる。
身もだえするほど。
他のカップルはともかく、一番気になるのは、ソン・チャヌ(ペ・ヨンジュン)とカン・ソッキ(チェ・ジウ)の恋のゆくえである。
そのまま走ってビデオ屋に行き、『冬のソナタ』の貸し出し状況をチェック。
韓国語版DVDは一本もない(日本語版のVHSはあった。でも、この状況で萩原聖人の吹き替えにあなたは耐えられるか?)
あのさ。
もうだいぶ前に韓流ブームとか終わってるわけでしょ。
困ったものである。
私は別に他意はないのである。
ソン・チャヌとカン・ソッキの「続き」が見たいだけなのである。
どうしてないの?
『冬のソナタ』を最初に借りに行ったのはもう2年前のことである。
芦屋のTSUTAYAにはきれいに一本もなかった。
ああ、流行っているのね、と私は静かに笑って、ブームが去るのを待った。
しかし、いつ行っても、ない。
ややこわばった笑いを残しつつ、私はさらにブームが去るのを待った。
そのまま二年が経った。
私は決して吝嗇な人間ではない。
ハーシェル・ゴードン・ルイスのDVDも、エド・ウッドのDVDも、ラス・メイヤーのDVDも私財を投じて購入することを厭わない人間である。
それだけで私がいかに映画マテリアルに対する投資において太っ腹な人間であるかということはご理解頂けるであろう。
しかし、二年待ったあげくにビデオ屋にないのでしかたなく私費でDVDを購入するというのでは、「待った二年間」がまるで無意味だったということになる。
私は吝嗇な人間ではないが、無意味な二年間を過ごしたという事実を認められるほど豪放な人間ではない。
『冬ソナ』は何があっても「借り」なくてはことの筋目が通らない。
ついに節を屈して大学のAVライブラリーに『冬ソナ』のDVDを借りに行く。
ビデオ屋の店員に「なんだよ、このおっさん、いまごろ『冬ソナ』かよ…」と思われるのは痛くも痒くもないが、仮にも「映画評論家」として偉そうなことを書き散らしている教員が「いまごろ」『冬ソナ』を借り出すところを職員や学生に知られたくはない。
「節を屈して」とは、そのことである。
借りたDVDのタイトルを学生に見られないように脇に抱えてあたふたと部屋に戻り、鞄にしまい込む。
夜半、人目がないのを確認して、『冬のソナタ』第一話を見る。
おお、チャヌ。
髪がずいぶん伸びたじゃん。
でも、また高校生?
おお、ソッキ。
君はまた放送部なのか?
いいよ、いいよ。
どんどんいこうじゃないの。
おおおお、車にはねられてしまった。
って、これってまるっと『銀座の恋の物語』?
チョウ・ユン・ファのアイドルが小林旭であったことはよく知られているが、韓国映画界にまで日活映画のコアなファンがいたとは。
日活恐るべし。
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