大学センター試験。
試験監督のため氷雨の中をひさしぶりにネクタイ締めて大学へ出勤(このところバイク通勤が寒くて、ずっと革ジャンにタートルネック、マフラーぐるぐる巻きだったのである)。
センター試験の監督は、マニュアルに書かれた通りに、機械的にやらなければいけない。
だが、これまで都立大時代をふくめて十年ほど監督者の様子を拝見していると、台詞を噛んだり、言い間違えたり、マニュアルにないよけいなことを口走ったりする大学教師がけっこう多い。
あるいは「機械的にマニュアルを読み上げる」という作業に無意識的な抵抗が働くのかもしれない。
私自身は「機械的に何かをする」ということに特段の抵抗がない。
というか、かなり好きである。
きっと私が非人情な人間だからなのであろう。
非人情な目つきで受験生を眺めながら、教室最後尾の椅子にすわって、その前の休み時間に学長から「読んでおいてね」と手渡された中期計画書に目を通す。
「監督者は読書をしてはいけない」という規定がマニュアルにはあるのだが、「大学中期計画書」をマーカー片手に読むのは、はたして「読書」に当たるのであろうか。
受験生の視点からは、「監督者手引き」を熟読している監督者と、「大学中期計画書」を熟読している監督者を識別することはできない。
たしかに、「読書」の場合であれば、熱中してしまうと、「解答やめ」の合図を忘れたり、読んでいるうちに「ぐふふ」と含み笑いしたりする可能性があるが、学長の起案された「大学中期計画書」を読んで、忘我の境に入ったり、わははと爆笑してしまう人間は存在しない。
計画書の冒頭に、本学の教育理念として次の五点が挙げてある。
「キリスト教精神/リベラルアーツ教育/国際精神・異文化理解(英語教育)/女子教育/キャリア形成意識の醸成」
うーむ。
もちろん教育理念に文句があるわけではない。
専任教員が自分を採用してくれた大恩ある大学の教育理念に文句を言ってはことの筋目が通らない。
そうではなくて、「覚えにくいな」と思ったのである。
実際に、よく会議の席で、教育理念のことが話題に上るときに、「本学の教育理念は・・えーと、キリスト教精神と、国際理解と、リベラルーアーツと…あとなんでしたっけ?」(というようなことが管理職のあいだでも口にされることがある)。
そういうときに、みんな顔を見合わせて…「えーと…」と考えているうちに、誰かが「女子教育じゃないですか?」と思い出す。
当たり前すぎて忘れていたのである。
これは問題ではないか。
で、学長レポート冒頭を一読、「教育理念をひとことで覚える」方法を考えることにした。
こういうコピーライティングは私はわりと得意なのである。
キリスト教精神…chiristianity
リベラルアーツ…liberal arts
国際精神…internatinality
女子教育…women’s education
キャリア形成…Career oriented education
というような適当な英語訳をつけておいてから、頭文字のC、L、I、W、Cをじっと眺めて、ただちに一案を得る。
W-CLIC (ダブル・クリック)
おお、これは覚えやすい。
というわけでHPをご覧の本学教職員のみなさん、本学の教育理念って、なんだったけ…と思い出せないときは、マウスを「カチ、カチ」とダブルクリックしてみてください。
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(2005-01-16 11:14)