今年最後のご挨拶

2004-12-31 vendredi

恒例の「年間重大ニュース」を考える。
あまりにいろいろなことがあった一年だったので、ちゃんと思い出せないけれど、とぎれとぎれの記憶をたどってゆくと。
順不同で

1)またまた引越し(17歳以来16回目の引っ越し。ちなみに歴程は。相模原→駒場→野沢→お茶の水→平間→自由が丘→九品仏→自由が丘→尾山台→上野毛→芦屋山手町→武庫之荘→芦屋山手町→御影→芦屋業平町→芦屋大原町)

2)7年越しの翻訳、レヴィナス『困難な自由』を脱稿。翻訳権取り忘れで反古となり、すすり泣く。

3)本をさくさく出す。
『街場の現代思想』(NTT出版)、『死と身体』(医学書院)、『他者と死者』(海鳥社)、以上3冊が単著。
『東京ファイティングキッズ』(柏書房・平川克美くんとの共著)、『現代思想のパフォーマンス』(光文社新書・難波江和英さんとの共著。これは既発の単行本の新書化)、『教養教育は進化する』(冬弓舎・佐藤学先生+総文の同僚たちとの共著)、『言語と文学』(書肆心水・ポーラン/ブランショ本に『文学はいかにして可能か?』について論じた旧稿を採録)、『岩波応用倫理学講義・性/愛』(岩波書店・金井淑子編に「セックスというお仕事」を寄稿)以上5冊が共著。
その他に、高橋源一郎『ジョン・レノン対火星人』(講談社学芸文庫・に解説「過激派的外傷あるいは義人の受難について」を書く)、J=M・ドムナック編『構造主義とは何か』(平凡社ライブラリーに解説「死者が許さない」を書く)などなど。
本に関するもう一つの重大ニュースは『寝ながら学べる構造主義』が5万部突破して、文春の嶋津さんに神戸ステーキを奢ってもらったこと!(ごちそうさまでした)

4)いろいろな人にはじめてお会いした。印象深かったのは、養老孟司先生(『薬の知識』のための対談で)、加藤典洋さん(「鈴木晶さんの家を高橋源一郎さんと急襲してワインセラーのワインを飲み干すBBQパーティ」で)、橋本治さん(ちくまプリマー新書の創刊記念対談で)。

5)旧友・竹信悦夫がマレーシアで客死。久保山裕司についで、「蛍雪友の会」は二人目の会員を失う。

6)高橋源一郎さんが神戸女学院大学に集中講義に来学! ウチダも連日聴講して、「高橋源一郎の明治文学史in神戸女学院」を出版することになる。

7)京大の杉本淑彦先生から集中講義「超・身体論」に呼んで頂いたとき、光岡英稔師範をゲストでお呼びして、聴講生を驚かせる。

8)その集中講義のときエレベーターの中でばったり吉田城くんに会って、秋の学会のワークショップ出演を頼まれてやがて北海道へ行くことになる(そのときミヤタケにもばったりエレベーターの前で会って、やがて美山町の小林家での「松茸を食べる会」へ行くことになる)

9)「史上最強の呉服や若旦那」守伸二郎さんのお招きで香川で講習会を開く。その打ち上げの席で守さんに「丸亀のロレンツォ・デ・メディチ」の呼称を贈る。

これで九つ。
九つくらいがちょうどいい具合かもしれない。
今日の芦屋は朝から雪が降って、たいへんに寒い。
年末仕事もあらかた片づいたので、コーヒー片手に『TFK2』をさらさらと書いてアップ。
着物を梱包して宅急便で相模原に送り、自動車に給油しにゆくが、舞鶴道は凍結で通行禁止らしく、今年は恒例の『翁』には行けそうもない。
初詣は芦屋神社でさらりと済ませて、ゆっくり映画でも見ることにしよう。
では、みなさん、よいお年をお迎え下さい。
来年がみなさんにとってよい年でありますようにご祈念申し上げます。
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