忙中閑あり

2004-12-15 mercredi

ひさしぶりの、ひさしぶりのオフである。
何も予定がない。
ありがたいことである。
さっそく掃除、洗濯、アイロンかけ。
手紙を何通か出して、電話をするところに電話をして、払い込むお金を払い込んで。とりあえず「あ、あれやっとかないと・・・」という案件は片づいた。
やれやれ。
買い物をすませてから、『葵上』の謡と『巻絹』の神楽の道順をおさらいしているうちにとっぷり日が暮れる。
机に向かって仕事にかかったのが6時。
名越康文先生との対談(『14歳の子供を持つ親のために』(仮題)、新潮新書)の草稿がデータで上がってきたのをばしばし直してゆく。
名越先生との話は、ほんとうに面白かった。
すでに編集してあるので、はいちばん最後に大阪のフレンチでシャンペンを飲みながら話したところから始まる。
私も最初はわりとまじめに話しているのだが、だんだんワインが回ってきて、途中から「なもん、ダメに決まってんじゃないすか」とか「もうそんなの禁止。法律で禁止しちゃいましょうよ」というような居酒屋で酔っぱらいサラリーマンが管を巻いているような口調になっている。
これをこのまま残しておくべきか、クールで内省的な学者の語り口に改変すべきか、いささか心迷うところである。

市川のマスダくんからメールが来て、小池昌代さんのメールアドレスがURLで公開されてますよ、というご教示を受ける。
さっそく拝見して、メールを差し上げる。
「私、怪しいものではありません」というのがこういうメールの挨拶のことばであるらしいが、「あなたが怪しいものではないということの真理性をあなた自身が基礎づけられない以上、そんなこと言ってもしょうがないでしょう」と言われると一言もないのである。
これから出ます著書をお送りしますから、よろしければご住所を教えてくださいという申し出も、いかにも怪しげである。
私が小池さんならそんなメールに返事をして、うっかり自宅住所を教えるような無謀なことはしない。
というわけで小池さんからはご返事メールがきっと来ないと思うけれど、小池さん、もしこのHP日記をお読みでしたら、ひとことだけ釈明させてください。
私、(「悪いもの」ではありますが)怪しいものではありません。
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