祭りの準備

2004-10-29 vendredi

フランス語と専攻ゼミを終わらせてからスーツを道着に着替えて、学祭の準備。
今年は在学生の人数が多いので、畳運びも楽ちんである。
学祭は合気道部の年に一度の「おひろめ」イベントである。
過去14年間、学祭に全日出勤している教員はたぶん私ひとりであろう。
お祭りと聞くと、なんだかわくわくしちゃうのだ。
会場設営後、稽古と演武会のリハーサル。
わいわい遊んでいるうちに日がとっぷり暮れてくる。
18時から「学習会」が始まるので、後事をかなぴょんとウッキーに委ねて、ふたたび「アルマーニの人」となる。
KO法律事務所のK田弁護士をお招きして、大学組合と「呼びかけ人」主宰の裁判闘争のための「学習会」がある。
私はこれまでさいわいなことに一度も裁判の被告になるという目にあったことがないのであるが、生まれてはじめての裁判に原告としてかかわることになった。
どうして私が裁判の原告になるような羽目になったか、ということの詳細はここでは申し上げることができない。
いずれ公的な事件となれば、その経緯をみなさんが知る機会もあるかもしれないが、とりあえずは、私の方から公表することは自粛したい。
裁判に持ち込む前に、和解交渉ができればよかったのであるが、先方が「こちらのやったことは適法である」とあくまで言い張るので、「それでは第三者の判定を受けなければなりません」と申し上げたら「受けて立つ」とおっしゃったので、適法違法の決着を司法に委ねるしかなくなったのである。
言っておくが、レートをつり上げたのは先方である。
K田弁護士が列挙してくださった最高裁判例を見る限り、勝訴の確率はかなり高そうである。
しかし、ほんとうの問題は個別的な事案に黒白をつけることではなく、こういうややこしい事件を繰り返し惹き起こしてしまう組織の体質をどうするかということにある。
K田弁護士が「こんな事件、あちらが『どうもすみません、間違えました』と言えば済むことなんですけどね…」とぼそっとつぶやいておられたけれど、まさに「どうもすみません、間違えました」ということを「言えない」という点が、現代日本におけるエスタブリッシュメントたちの知的・道徳的荒廃の徴候なのである。
そのことはこれまでも繰り返し書いてきた。
最初の小さな「ボタンのかけ違え」を「あれはかけ違えではない」と強弁しているうちに、収拾のつかない混乱が引き起こされる。
銀行の不良債権問題も、リーディングカンパニーのモラルハザードも政治不信も構造は同じである。
適当な言い逃れをして、責任を後任者に順送りにしているうちにことをうやむやにする…ということがある種の「ソリューション」だと信じられている限り、この荒廃はとどまらない。
そういう知的・道徳的荒廃の風土をどうにかしようと思うなら、傷んだ土壌を掘り返し、小さな種を忍耐づよく植えてゆくしかない。
裁判はそのために担わなければならない「負荷」であると私は考えている。
気の重い話だが、これは「権利の行使」ではなく、「義務の遂行」なのである。
学習会のあと、K田弁護士を囲んで、原告団団長(になる予定)のワルモノ先生と、二組合の執行委員長と、「私にはもう失うものは何もない」とけなげなことを言うM先生とプチ打ち上げ。

業務連絡!
10月30日(土)午後12時半より、神戸女学院大学文学館L-24教室にて、神戸女学院大学合気道部の演武会が開催されます。
かなぴょん、おいちゃん、クー、ドクター佐藤、IT秘書、ウッキーなどが「なま」でごらんいただけます。
HP日記を読んで、「この人たちはいったいどんな相貌の方々なのであろう・・・」と深甚な疑念をお持ちのみなさん、時間があったら遊びに来てください。
ウチダの「長説教付き説明演武」もたっぷり。
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