光岡英稔師範の韓氏意拳講習会

2004-06-20 dimanche

光岡英稔師範による韓氏意拳講習会。
去年の7月に第一回を開催して、今回が二度目。
いつものように野上さんと着物姿の守さんとごいっしょに光岡先生が岡田山に登場。
ご挨拶も早々に、守さんに「桐の下駄」をいただく。
夏の塩沢の着物に合わせて下さいというご配慮である。
先日はおうどんを頂いたし、いつもすみません(エビちゃんが「いかりや呉服店」に浴衣を注文してくれたので、そのお礼もかねていたようである。エビちゃん、さんきう)。
前日に京都の稽古会があり、光岡先生は京都から。
京都の稽古会はまだ発足したばかりだが、本田秀伸さんと曽我さんが世話人(濃いメンバーだね)である。
本田さんはもうすぐ試合があるので、今回は残念ながら不参加。
本田さんとはじめてお会いしたのも、そういえば1年前のこの講習会のことだった(そのご縁で、本田さんとムニョスの世界タイトルを私は光岡先生とふたりで国技館まで見に行くことになった)。
HPで宣伝しただけだけれど、70名以上の参加者があって、大学体育館は満杯。
野上さん、守さんら、曽我さんら、珠海の韓競辰先生のところで実地に修業されてきた皆さんが「師範代」としてご指導に当たって下さった。
おかげでこの大人数でもなんとか講習会が成立した。
次回からはもう少し参加者を絞り込まないといけなくなるかもしれない。
でも、ご心配には及ばない。
光岡先生の韓氏意拳ネットワークの形成は着々と進み、今は東京、京都、大阪、香川、徳島、大分で月例の講習会が開かれている。
自分が主催者として名乗りをあげて、光岡先生をお招きすることだってできる。
そういう10-20名程度の小規模な講習会ネットワークがゆるやかに連携するかたちで光岡先生のご指導は当面推移することになりそうである。

講習では基本の形体8種、站椿2種(挙式、抱式)を4時間かけてゆっくりと行う。
光岡先生に站椿をご指導いただくのは、一昨年の大阪での甲野先生とのジョイント講習会と春の三軸自在講習会を加えて)四回目。
毎回、分らない、できないなりに「分らない、できない」という大きな宿題をいただいて帰る。
そのことが心にひっかかっていて、合気道の稽古でも杖の稽古でも、それをどう「解く」かが無意識的に課題になっている。
最初の講習会では「肩の詰まり」ということばを光岡先生の口から聞いた。
それまで私の武道語彙になかったことばだったけれど、そのときから合気道の動きの阻害要因の一つが「肩の詰まり」にあるのではと思い至って、その修正のための技術的方法をあれこれ考案することになった。
単語ひとつが1年余にわたる技法改善のきっかけになったわけである。
多田先生の講習会でも同じだけれど、行ったからといって、その場で何かが身に付く、何ができるようになる、ということはない。
そうではなくて、そのときに先生が口にする片言隻句の中に、必ず噛み砕けず、嚥下できず、消化できない技法上の「概念=動き」がある。
それが「解けない宿題」として身体のどこかにわだかまる。
「わからない・できない」ことを、「できっこない」とあきらめるのでもなく、「わかった・できた」と錯覚するのでもなく、「わからない・できない」ままにまっすぐ引き受けてゆくこと。それが修業においてたいせつなのだと思う。
「確認」と「体認」という概念を昨日ははじめて先生から伺った。
「確認」というのは、既知の体感を再認することである。
「体認」というのは、未知の体感に触れることである。
意拳が求めているのは、「理想の体感=未知の体感」を体認することである。
それは定義上、「ああ、この感じね」というふうにアイデンティファイできない。
そもそも体認されるべきは「その体感にいたるプロセス」であって「結果」ではないからだ。
達成されるべき結果も、そこに至る技術的回路も、自分がただしく体認したのかどうかを判定する基準も自分の内部に持たない状態で、なお稽古をするというほとんど「とりつく島のない状態」に立ちつくすこと。
その状態にぎりぎりまで踏みとどまることを意拳の修業は求めているようである。
守さんによると、その「わからない」感じが愉しいらしい。

講習会のあとは恒例の光岡先生を囲んでの懇親会。
45人ほどが集まって、足の踏み場もない。
途中で光岡先生が立ち上がって、「ナイフ取り」の講習が始まる。これは韓氏意拳術ではなく、カリ、シラット系の殺傷技術。
光岡先生は、この種の「ワルモノ系」の技術がけっこうお好きである(ベリーニでもやってたし)。
こうやると頸動脈切れますよね・・・とかいいながら、先生実にうれしそうである。
西宮北口までお送りして長い一日が終わる(そのあと二次会は「ウッキー教育実習打ち上げ宴会」のおまけ付き)。
光岡先生、野上さん、守さん、どうもありがとうございました。講習会に遠く東京や九州から来て下さいましたみなさん、どうもありがとうございました。
また次の講習会でお会いしましょう。

光岡先生の講習会で。守さんと野上さんと
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