下川正謡会大会無事終了。
直前に大風邪を引き、申し合わせを欠席、直前2週間の間に稽古一回だけというたいへん不十分な準備で臨んだ大会であったけれど、なんとか終わった。
朝一に飯田先生の『鶴亀』やウッキーの『橋弁慶』,『紅葉狩』が並んでいたので、女学院関係者が大挙ご観覧いただきました。みなさん、どうもありがとう。
二人の初舞台もたいへんにおみごとでした。
二人とも「愉しそう」にやっていたのが、とてもよかったですね。
『融』は全曲12分くらいの長い舞囃子で、どっかんどっかんと七ツ拍子を踏みながら謡を謡い、手も忙しくお仕事をするというたいへんに作業量の多いコレオグラフィーなのであるが、さすが1年間営々としてお稽古を重ねてきた甲斐あって、何度か途中で頭が「まっしろ」になったけれど、白い頭のままでちゃんと身体は動いてくれた。
下川先生が最後に出番前の切り戸のところで襟首をぐいっとつかんで「ばたばた走ったらあかんよ」と死ぬほど怖そうな顔で凄んでくれた。
ふつうこういう場合は出番直前の弟子をリラックスさせようと、ひとこと気が楽になるようなことを言うのが世間の常のお師匠さまであるが、うちの師匠は出番直前に、弟子の襟首を締め上げながら死ぬほどおびえ上がらせてくれるのである。
まことに得難いお師匠さまである。
しかし、これは私を指導する方法としてこれ以上ないくらいに正しい方法なのである。
みなさまの感想を徴するに、結果的に、私はたいへん「初々しい」舞囃子を舞ったようである。
私から「初々しい」パフォーマンスを引き出すことのできる師匠は、世界ひろしといえども下川宜長先生を於いてほかにはいないであろう。
齢五十路を遠く越えて、まだ「叱られると怖い先生」がいるということは、まことにありがたいことである。
ご多用中の中、神能殿に来て下さったみなさまにお礼申し上げます。
清水先生、中川さん、イワモトくん、平山さん、溝口さん、ドクター佐藤、大迫くん、見満さん、青山さん、蔵屋さん、角田さん、小林さん、谷尾さん、石田くん・・・みなさん、どうもありがとうございました(ドクター佐藤は下川先生の仕舞に感動して、社中入りを決意されたそうです。おお、また仲間が増えたぜい)。
来年は『巻絹』です。また、きてくださいね!
--------
(2004-06-06 23:26)