雪かきと牡蠣とぶっかけ

2004-03-23 mardi

寒い。
雨がじゃんじゃん降っていて、風もぴうぴう吹いている。
こういう日は部屋にこもってあたたかいコーヒーでものみながら、こりこり仕事をしていればよいのであるが、午後から会議で大学へ。
COL(お名前かわって、今度はGPプロジェクト)の申請のための最後の打ち合わせである。
今年も最終的な文案はウチダが起草する。おそらく採択されないであろうという諦念とともに原稿用紙24枚の申請書類を書くのは、ある種の「拷問」である。
締め切りは4月13日。その前に読み合わせがあり、その前にメールでWGの委員に回覧しなければならないので、来週中には書き上げないといけない。
死ぬほど仕事がたまっていて、焦慮が限界に達している中で、なおだれひとりとして期待して待つ「読み手」のいない書き物のために数日間を投じなければならないというのは、なんとも切ないことである。
しかし、こういう「雪かき仕事」のようなものは誰かがやらないといけない。
私が放り出せば、誰かがその仕事を引き受けないといけない。
私が着任したばかりの頃には、年長の先生方がこんな仕事をいまの私と同じように愚痴をこぼしながら、こりこりとなされていて、その努力で大学組織が運営されていたわけである。
そんな先生たちの苦労も知らず顔に、若い私はお気楽に研究したり、翻訳したり、お稽古をしたりしていたのである。
こういう仕事は「年回り」で引き受けるものなのである。
「雪かき」ということばが使われていたのは村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』のなかである。
私はこのことばがわりと好きだ。
雪かきは誰かが早起きしてやらないといけない。
でも雪かきされた道を歩く人は、その人が気持ちよく歩けるように雪かきしてくれた人のことなんかあまり考えないで、足早に立ち去ってしまう。
まあ、そういうものである。
私もこれまでずいぶん「雪かきされた道」をそれと知らずに足早に駆け抜けてきたわけであるからして、いずれ「お返し」をしないといけないのである。

冷たい雨に震えながら家に戻り、鵜野先生からいただいた牡蠣にレモンをかけて白ワインでいただき(ごちそうさまでした!)守さんからいただいた讃岐うどんを「ぶっかけ」にして食べる(これも美味!)。
お腹がいっぱいになると少し幸せな気分がもどってきた。
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