柑橘類ダイエットと『ファム・ファタール』

2004-03-13 samedi

ひさしぶりに三宅接骨院にゆくと、先生に「デブになりましたね」と言われる。
さらにたたみかけるように、「内臓が疲れ果てています」とも言われる。「これでは気分がだらけて何をする気も起きないでしょう。」
そ、そうかなー。
そうかもしれないなー。
極楽スキーで高脂肪高タンパクの食事を三食むさぼり食い、夜ごとの宴会でどんがちゃっかしていたわけであるから、多少デブにもなるだろうし、肝臓もいささかお疲れさま気味ではあるだろう。
うつむいて反省の表情のウチダに向けて、三宅先生はおごそかにこう告げた。
「二三日、お酒やめてください。それから高知のブンタンさしあげますから、これから柑橘類ダイエットしてください。ブンタンとグレープフルーツ以外のものは当分くちにしてはいけません。柑橘類は体内の脂を流す効果がありますから、『おおおお』と感動するほどうんちがでますよ」
うううう。
たしかにデブは補正したいし、感動的なうんちを鑑賞するにやぶさかではないけれど。
「あのー、先生。今日これから大阪帝国ホテルで会食があって、フレンチをむさぼりくってワインをがぶのみする予定なんですけど・・・」
「あ、じゃあ、明日からでいいです」(おお、なんと寛大な三宅先生)
というわけで、ゆうべは大阪帝国ホテルでの温情会で、しばらく味わうことのできないローストビーフや鯛のソテーなどをぱくぱく食べて、シャンペンやワインなどを飲む。
というわけで、本日から恐怖の「柑橘類ダイエット」である。
みてろよー。死ぬほど痩せてやるからなー。
痩せすぎて、泣くなよー(って誰に向かって言ってるんだ)(この決意表明もう五回くらい書いたな)
しくしく。

【今週のバカ映画星取り表】
『ゴーストシップ』(Ghost Ship by Steve Beck: Gabriel Byrne, Julianna Margulies) ☆☆☆ ほんとなら☆☆であるが、「ピアノ線で人体分割」の発想の妙と、イタリアの女歌手の色っぽさで、それぞれ0.5☆加点。

『ファム・ファタール』(Femme fatale by Brian De Palma: Rebecca Romijn-Santos, Antonio Banderas, Eric Ebouaney, Edouard Montoute, Gregg Henry, Jo Prestia!) ☆☆☆☆
おお、ひさしぶりの「五つ星」映画だ。
まずブライアン・デ・パルマのストーリーの洗練と巧妙に脱帽。ネタもとは『邯鄲』か『聊斎志異』か(いま「りょうさいしい」と打ったら「良妻思惟」と出てきた。なんだか切ない文字並び・・)あるいは『クリスマス・キャロル』か、とにかく「未来を見てしまったことによって、運命が変わる人間の話」。ハリウッド映画はほんとにこのストーリーパターンが好きだな。
途中で人間が「入れ替わる」という仕掛けにちょっと「デヴィッド・リンチ」が入っているかも。
二分割画面カメラもたいへんスリリング。
キャストではレベッカ・ロメイン=サントスの「人の悪さ」と、アントニオ・バンデラスの「人の善さ」のバランスが絶妙。
レベッカ・ロメイン=サントスの「サービスヌード」もふんだん(エッチな踊り付き)。
『アレックス』でモニカ・ベルッチを9分間にわたってレイプしたあの「サナダムシ」野郎 Jo ”爬虫類顔” Prestia くんもまたまた「おおお」というところに出てくる。
ブライアン・デ・パルマは「悪くて、いい女」を描かせると、まことに天下一品。
--------