野沢温泉に極楽を見た

2004-03-11 jeudi

極楽スキーが終わって、ふたたび勤労の日々に戻ってきた。
今年の極楽は「極楽の極み」的にパラディーゾな四日間であった。
なにしろ、全日ピーカン。
文字通り「雲一つない」青空が広がり、私たちの到着前日に降雪があって、雪面はベストコンディション。
悦楽的な硫化水素の香りを満喫し、山海の珍味に舌鼓を打ち、美酒に酔いしれ、「スキー・風呂・飯・ビール」の黄金の四連打をこれでもかこれでもかと心身にたたき込んだ、まことにゴクラキッシュな日々であった。
私は右膝故障のため過去二回極楽スキーを欠席してしまったのであるが、今年は膝もかなり回復したので、おそるおそるスキー板を履いてみた。
さすがに、雪面の悪いところで右膝に変な方向のひねりが加わるとつよい違和感があるが、ふつうにちゃらちゃら滑っているかぎりは問題ない。
もともと本会には「向上心をもってはならない」という不磨の会規約があり、「シュナイダー・牛首滑走禁止」が会員には言い渡されているので、「ちゃらちゃら滑り」に対して批判的なまなざしを向けることがあってはならないのである。
しかし、今回初参加のドクター・佐藤は岩手のご出身、幼児のころよりスキーをはいていた「雪国少年」であり、そのリズミカルで軽快な滑りが一部同志の無意識下に抑圧されていた「技術的向上心」に火を点けてしまったことはかえすがえすも遺憾としなければならない。
とりわけ鉄の会規約「技術は金で買え」を実践躬行されて「カモノハシ型カーヴィング」を導入され、本来であればちゃらちゃらスキーの領導をはたすべき飯田同志が「技術は金だけでは買えないのでは・・・もしかして・・私たちに足りないのは・・・『こゝろ』?」というような心情主義に屈服し、高斜度斜面におけるウェーデルン技術をドクターの指導下に会得されたことに対して、「ああいうことがあってよろしいのか」と書記局派内部にはつよい懸念の声があがった。
しかし、過去十年間、会員間に蔓延するあらゆる技術的向上の試みをそのつど萌芽段階で殲滅してきたわが書記局派と、ゲレンデにいかなるものであれシリアスな主題を持ち込むことに力強い「ノー」を告げてきたレーニン主義ワルモノ派の実力を侮ることはできない。武闘系レヴィナシアンと難波レーニン主義者の戦術的同盟に加えて、革命的状況の歴史的熟成にきっぱり背を向け、あらゆる連帯の申し出を拒絶し、ひたすら内観の日々に沈潜する「林間・柄沢」派ウエノ同志の無言の応援を得て、今年もまた「極楽スキーの会」のスポーツ・オリエンテッドな組織改革めざす動きが圧倒的な革命的警戒心の前に粉砕されたことをここに満腔のヨロコビをもってご報告申し上げたい。
というわけでシュプール号の廃止などさまざまな歴史的展開の可能性を秘めつつも、全会員が「ああああああ極楽じゃ」と悦楽のうめきをもらしつつ極楽スキーの会は今年度の活動の幕をおろしたのであった。
本年度のゴクラキスト9名のお名前をつつしんでご紹介しておく。
”難波レーニン主義者” ワルモノ同志(幹事ごくろうさま!)、ワルモノ同志ご令息(初日に右足首捻挫で、残る日々をマンガと昼寝で過ごすも、これもまたある種の「極楽」か)、”林間・柄沢派” ウエノ同志、”雪国少年” 佐藤同志、”カモノハシ” 飯田同志、”やまびこゲレンデの憂愁” 三杉同志、”パラディーゾ” 高橋同志、”キタロウ” 櫻木同志。
また来年も ”極楽” でお会いしましょう。
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