1月28日

2004-01-28 mercredi

引っ越しが決まったら、とたんに忙しい。
芦屋市役所に住民票を取りに行き、石井内科で定期検診、薬局で処方箋で薬を出してもらってから、銀行に自動引き落としの口座を開き、灘区役所に納税証明を取りに行き、ラポルテのパーキングの場所を決めてから、契約をすませ、その帰りに床屋に寄る。
爆睡。
帰ってからレヴィナスの翻訳の続き。
長大なローゼンツヴァイク論の途中まで。20年前に訳したときは、いったいレヴィナス先生が何を言いたいのかまったく分からなかった。
今はびしびしと骨身にしみる。
「愛を命じることは可能である。だが、愛を命じるのは愛である。」
こういうフレーズを読むと「お、お師匠さま・・・」とざわざわと鳥肌が立ってくる。
ざわざわしながら3時間で6頁訳す。
あと120頁。
このペースでじゃんじゃん訳してゆけば、春休み中には予定通り仕上がりそうである。
『困難な自由』が仕上がったときの安堵感は自分の本を書き上げたときの達成感とは比較にならぬであろう。
その日が愉しみである。

石井先生に「もっと痩せなさい」と注意される。
血圧も中性脂肪も痛風も、すべて肥満を解消すれば快癒しますと宣告される。
石井先生は「痩躯鶴のごとき」お方であるから、「巨躯天を衝く」三宅先生に言われるのとは違う意味で迫力がある。
よおし、痩せるぞ(と自分にかけ声をかけるのも何度目か・・・)
しかし、時分どきになるとおなかが「くうくう」と鳴り出す。
ううううう。腹減った。
Re-set の橘さんに教わった「野菜スープ減量法」に挑むことにする。
とかいいながら、「野菜だけじゃ、味しないしなあ・・・」などと言い訳しつつ、ベーコンや鶏肉を入れてしまう意志の弱いウチダなのであった。

『薬の知識』という業界紙から対談のオッファーがくる。
お相手は養老孟司先生。
『唯脳論』以来の養老ファンであるウチダとしては、ちょっとどきどきである。
池上先生、名越先生、三砂先生・・・と「医学系」の偉大な方々との対談仕事がぱたぱたと続いている。
「来だすと続くの法則」というものがあって、こういうのはなぜか続くものなのである。
--------