1月26日

2004-01-26 lundi

フランス語の試験をやって採点。あとはレポートを読んで、成績をつけて、それで後期はおしまいである。
今週のなかばから入試が始まる。
04年度入試の出願状況がわかった。
数字は悪くない。
全体では前年比124.5%。
ただし、これはF日程というのを新設して、試験回数が一回増えその累計の数字だから、受験者実数は前年と変わらない。(同じ人がF日程、A日程の二回受験したら「ふたり」と数えるからである)
それでも二回受験する人というのは「ぜひ神戸女学院に入学したい」というロイヤルティの高い人であるから、動機づけが強いので、入学後もよく勉強するし、クラブ活動なども元気にやってくれる。
こういう人がふえるのはうれしい。
総合文化学科は前年比なんと147.6%。
うちの学科だけが突出して志願者がふえている。
どうしてなのかよく理由が分からない。
「総文叢書」を出したり、シンポジウムをやったり、いろいろ積極的な活動をしていることが高校生にまで伝わっているとはちょっと考えにくいけれど、進路指導の先生たちのあいだに「総文は面白そうだよ」という印象がひろまりつつあるのかも知れない。
ともかく18歳人口が前年比5%減の中でこの数字は「大健闘」である。

うちのマンションの真ん前でマンションの建設工事が始まった。
もともと駐車場があったところで、うちの南側にひろびろと空き地があって、たいへん洗濯ものの乾きがよかった。
ところが、地主さんが破産したとかでそこが転売され、いきなり5階建てのマンションが建つことになったのである。
「いきなり」建ってくれるのであれば、こちらも日当たりが悪くなるくらいのことは我慢してもよいが、なんと建設工事に一年かかるというのである。
来年の1月まで一年間私の書斎の窓のすぐ前でぐわんぐわん建築工事をするというのである。
堪忍してほしい。
工事は午前9時から午後6時まで、というけれど、それはもろに私が書斎で仕事をしている時間である。
「どのような家に住むのかを判断するのは高度な身体感受性の証明である」などと豪語してきたが、さすがの私も「向かいの土地の大家さんの経済状態」までは把握できなかったのである。
しかたがないので、また引っ越しすることにする。
まだ1年住んでないのであるが、騒音とほこりに耐えてこのあと一年間過ごすことで蓄積するストレスを考えると、多少の出費は惜しむわけにはゆかない。
とりあえず静かに思索に没頭でき、快適に仕事ができる環境を整えることが、この商売では何よりも優先される。
さいわい、芦屋川沿いのマンションにいくつか空き室があるようなので、今日これから調査にでかけることにする。
春休み中にさっさと引っ越してしまうつもりである。
今年届いた年賀状の半数くらいは前の神戸市御影の住所あてのものが転送されてきた。今年の年賀状に「芦屋にひっこしました。住所録をご訂正ください」と書いたばかりであるが、またまた「ご訂正」を願わなくてはならない。
「ウチダはいったい何回引っ越しすれば気が済むのか!」とさぞやご憤慨の方もおありだろうが、私のせいじゃないもん。

と、書いた後にふらりと立ち上がって家探しに出かける。
今回の条件は「JR芦屋駅から平地を歩いて5分以内(これは母上からの絶対条件である)」「3LDK」「駐車場付き」「日当たり良好」「騒音なし」である。
さっそくいつものリージョンに行く。ここの営業の女性は女学院の卒業生なのでたいへんフレンドリーな応接をしてくれるのである。
候補物件を二つに絞って部屋を見に行き、大原町の物件に即決。
駅前のラポルテ東棟の5階。
コープとセイデンとモスバとミスドとジュンク堂が同じ建物の中にある(ないのはTSUTAYAだけ)という立地条件である。
JR芦屋駅から雨が降っても濡れずに家まで帰れる。
家賃はいまのところよりだいぶ高くなるけれど、ま、何とかなるでしょ。
ああ、また引っ越しか・・・めんどくさいよう。
結局、業平町にいたのは359日ということになる。
これは震災直後に仮住まいした武庫之荘に次ぐ「一カ所滞在期間」の最短記録である。
ちなみにウチダの引っ越し歴を書き出すと・・・

下丸子→小田急相模原→駒場寮→野沢→御茶ノ水→平間→自由が丘→九品仏→自由が丘→尾山台→上野毛→山手町→武庫之荘→山手町→御影→業平町→大原町

と17歳から数えて今回が16回目の引っ越しである。
通算で平均3.3年。20歳以後だけだと平均2年4ヶ月になる。
「趣味:引っ越し」と履歴書に書いてもいいくらいだな、これは。

前回、御影から芦屋に移るときに、ずいぶんものを棄てた。マンションの収納スペースが狭くて、荷物が入らなかったのである。
おかげで、今の家には机と椅子とベッドと本棚くらいしか家具らしいものはない。
あとは本とCDとDVDと衣類だけ。
新居はここよりかなり広くなるし、収納スペースもあるので、さらに「がらん」とした風情になるはずである。
そこで大丸百貨店の社員食堂でごはんを食べるOLをぼおっと眺めながら、こりこりと原稿を書くのである。
今度の引っ越しは2月11日(休日)の予定。
お手伝い下さる方は大歓迎。昼飯付き・宴会付きです!
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