1月18日

2004-01-18 dimanche

センター試験の二日目。今日は試験監督に動員される。
本学のような私学でもセンター入試によるの入学定員枠があるので、そのお返しとして会場提供をして、教職員が動員されるのである。
もちろん本学で受験する方々も、ほとんどは国公立大学(四月からは独立法人大学と呼称されるらしい。「ドクホーダイ」というのとなんだか「毒放題」みたいで語感があまりよろしくないけど)志望の方々なので、本学とはあまり関係がないのである。だが、まだ受験校を決めていない人の中は、本学の「日本一美しいキャンパス」を見てくらくらとなって志望校にお加え下さるケースもあるので、営業上、センター入試監督もあだやおそろかにはできないのである。
センター入試では何時何分に何を言うのかすべて決められており、決められていない台詞を口にすることは許されない。全国一斉に同じ時間に「ただいまより問題冊子を配布します」という同じ台詞をおそらくは数万人の教師が教壇で口にしているわけである。
天上から耳を澄ませると、「ただいまより・・」が「倍音」になって聞こえるかもしれない。
全国どの会場でもまったく同一の条件で試験がなされねばならない建前であるから、どのようなトラブルが発生しようとも、「臨機応変に対処する」ということは許されない。すべて規定通りに対処しなければならない。
したがって「こんなトラブルが起きたら、こう対処してください」というマニュアルが事前に配布されるのであるが、年々その「事例」の数がふえてきて、とても読み切れない量になってきた。
ぱらぱらとめくるうちに、「こんなことが私の会場でおきたらどうしよう・・・」というようなむずかしい事例を想像してしまう。
「受験票の写真と写真票の写真が違う」というような場合は本人と照合して「同一人物」であることが分かれば問題はないのだが、「受験票の写真と本人がぜんぜん似てない場合」というのはどうすればよろしいのか。
試験場で「かぶりもの」や「はちまき」をしている受験生はご本人に何か特別の理由がある場合には許可をしてもよいとされているが、「山高帽」や「烏帽子」を着用に及んだ場合はどう対処すればよろしいのか。
事例集にはなかったが、毎年困惑するのは「強烈な香水」をつけてくる受験生である。
試験監督でかたわらを通過してさえ頭がくらくらするほどである。隣り合わせた受験生の苦しみは筆舌に尽くしがたいものであろう。
このような対処事例を精緻化することにはいずれ限界があるのだから、いっそ「いろいろあるだろうけれど、不運は人生につきものだから、ま、我慢してね」ということで受験生諸君にはご海容願えないであろうか。
さいわい本学の試験会場ではなにごともなく無事に試験が終了した。ほっ。

昼に仕事がおわって、門戸厄神の参拝客の列をかきわけて家に戻り、ばたりと昼寝。
夕方起き出して、高橋源一郎さんの『ジョン・レノン対火星人』の解説の続きを書く。
さらさら。
八分ほど書き終わる。
締め切りまであと1週間。

ひさしぶりに餃子を作る。
キャベツ、にら、豚の挽肉に塩、胡椒、ごま油、オイスターソース、豆板醤、味噌、片栗粉を加えてこねこねする。
兄ちゃんにもらったチャールス・ロイドの Forest flower(モンタレーのジャズフェスのときの録音。キース・ジャレットの神懸かり的なピアノソロのあとに飛行機の爆音が入る、あの歴史的名演奏)を聴きながら、こねこねした具を餃子の皮で包む。
てんてけてって、てんてんてんてん、てん。とジャック・デジョネットのドラムソロが終わり、チャールス・ロイドのテーマが出てくるところの「間」で鳥肌が立つ。(66-67年に長い時間をジャズ喫茶で過ごしたひとならわかるはずだ、「あ、あそこね」。そ、あそこです)
うちの餃子は「水餃子」であり、これを醤油、酢、豆板醤、ラー油で味付けして、つるつると「わんこそば」風に無限に食べ続けるのである。
無限とはゆかぬが46個食べたので、腹がはち切れそうになって止める。
し、しまった。ダイエット中だった。
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