12月12日

2003-12-12 vendredi

平川くんが遊びに来る。
といっても日帰り大阪出張の帰り際の1時間半ほど。
芦屋シャンティでカレーを食べながら、おしゃべり。
平川君を相手に話していると、どんどん新しい考えがあふれてくる。
『東京ファイティングキッズ』はこのあと「大学論」にしようということに決まる。
大学教員はあらゆることについてリサーチを行うが、大学教員についてのリサーチだけは行わない、ということで知られている。
しかし、自己分析を行うことのできない人間が、「自分を含むシステム」の分析を行いうるのだろうか?
私は懐疑的である。
教員評価システムの導入のために自己評価委員会では議論を進めているけれど、「研究教育活動についてリサーチをして、結果を数値的に表示する」ということについて猛然たる反対が教員の一部からなされている。
研究教育活動は客観的査定になじまない、というのが彼らの言い分である。
なるほど。
たしかに同時代からは評価されなかった研究が、後世から激賞されるということも過去になかったわけではない。
「棺を覆って定まる」ということもある。
では教員評価は諸先生方がお亡くなりになってから行う、ということであればよろしいのであろうか。
おお、これは名案だ。
問題は、そのリサーチ結果が大学が何の利益ももたらさない、ということだけである。

平川君を芦屋駅で送った帰り道にTSUTAYAに寄る。
通い始めると「返しては借り・・」の「自転車操業」ペースになる。
この10日ほどで借りたのは

『ブラックダイヤモンド』(☆)、『ザ・リング』(☆☆☆)、『シカゴ』(☆)、『ディアデビル』(スカ)、『X-men2』(☆☆)、『ハルク』(☆☆)、『ソラリス』(☆☆☆)、『戦場のピアニスト』(☆☆☆☆)、『ワイルドバンチ』(☆☆☆☆☆)

☆の読み方は
☆:思わず早送り
☆☆:エンドマークが出たあと舌打ち
☆☆☆:よくも悪くも印象なし
☆☆☆☆:解釈欲望を解発する「何か」が含まれている
☆☆☆☆☆:これが「映画」だ!
スカ:映画としては無価値であるが、ある種の「病的徴候」として分析に値する。

というわけで最近見た映画で☆☆☆☆☆は34年前のペキンパーの『ワイルドバンチ』だけ。
男たちの表情の深さ(ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ウォーレン・”ガルシア”・オーツ、ベン・”ライオン”・ジョンソン、ロバート・ライアン)
ハリウッド映画からこういう「味のある顔」をした俳優がいなくなり、みんな薄っぺらな顔になった。
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