午前中、下川先生のところでお稽古。
『融』の舞囃子を通しで最後まで舞う。
謡の詞章を忘れたり、道順が「あれ?」っとなったり、拍子が微妙にずれたりしたけれど、なんとか最後までたどりつく。
謡は『通小町』のシテの深草少将の亡霊。
日本一のイラチ男であるウチダと小野小町に騙されていそいそと百夜通う深草の少将ではキャラ的にあまりなじまないのであるが、「煩悩の犬」という点では深く通じるものがある。
わんわん。
大学では今週からゼミの面接というものが始まる。
学生さんたちに簡単にゼミの紹介をしてから、ひとりずつ面談をして、何を研究したいのか、何に興味があるのかを訊ねる。
ウチダ・ゼミの採択方針は「変な人」を取るということである。
変わった趣味、不思議な特技、ヘンテコなバイト経験などを持っている人をゼミに集めることにしている。
ゼミ生諸君は「山場の人」である私にとって貴重な情報源だからである。
「ええええ、この世にはそ、そんなことがあるの?」とか「ええええ、キミそんなこと考えてるの?」というような斬新なるネタを提供してくれるゼミ生はウチダの思考を活性化してくれるたいへんたいへんありがたい存在なのである(『ミーツ』の「街場の現代思想」のネタの過半はゼミ生提供であった)。
ゼミはウチダが何かを教える場であるというよりは、ウチダが何かを教わる場なのである。
古諺にいわく「大蛸に教えられ」(@大瀧詠一)。
ウチダを驚倒させる「転宅留守」(@ATOK14)の出現を待っているのである。
面接を終えて、ぱたぱたと合気道のお稽古へ。
先週から新人が相次いで登場。中学部の子たちが四人やってくる。
若い諸君はちゃんと「時代の風」を察知しているのである。
ご賢察の通り、21世紀はね、「武道の時代」なんだよ。
本日は諸手取り。
「手さばき」が今日のテーマ。
接触点においてもっとも効率的な手の動かし方について考究する。
甲野善紀先生に講習会で教えていただいた「幽霊の手」(と勝手に命名)と光岡英稔先生に教えていただいた「站椿功」の基本手の一つ。
いずれも肩胛骨を動かして、肘から内側に手を巻き込むような流れなのであるが、これが背筋や大腿筋と連接する、たいへんに有効な動きであることがだんだん分かってきたので、それを使っての入り身投げや呼吸投げを試みる。
おお、こ、これはすごい・・・
「邪道一級」の一年生たちがあっというまにこれをマスターして、ほいほいと投げてゆく。
恐るべし、スーパー一年生。
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(2003-11-12 00:00)