日曜日は下川正謡会の「歌仙会」。
歌仙会というのは本来、素謡・仕舞を36番やるものであるが、それほど長い番組ではない。
でも、10時半はじめで終わったら午後5時を回っていた。
私は「融」の仕舞・独吟、素謡「山姥」のワキ、素謡「鉢木」のワキツレ。地謡が「神歌」「梅」「邯鄲」「安宅」「野宮」そして「玄象」。
「玄象」(げんじょう)はウッキーの初仕舞である(「鶴亀」の独吟が初謡い)。
「獅子には文殊や召さるらん」から始まるこの仕舞を、能楽を習う人々はだいたい最初に舞うのである。
「ゲンジョー」という音だけ聞かされてお稽古していたので、おそらくウッキーはこの「玄象」が、『陰陽師』で安部晴明と源博雅が羅生門で鬼から取り返した琵琶の名器の名前だということは知らないかもしれないけど、実はそうなのだよ。
私だって、最初聞いたときは「ゲンジョー」というのは「三蔵法師」のことかしら、と思っていたんだから。
仕舞も謡も大過なく終わり、下川先生にも「仕舞、だいぶよくなりましたね」とお言葉を頂き、ほっとして帰宅。
他のことではあまりプレッシャーを感じないウチダであるが、能のイベントだけはどっと疲れる。そのまま死に寝。
月曜は「仕事始め」。
卒論中間発表会。12時半はじめで終わったら、日もとっぷり暮れた6時半。
今年のゼミ生は16名だとばかり思っていたが、よく数えてみたら17名いた。
長丁場であったが、みんなテーマが面白いので、わくわくしながら聞く。
個人的にはK満くんの「ワルモノと共生する方法」と、I田くんの「兵法」の研究の、「いったい、どこからそんなテーマがでてくるの?」的意外性に爆笑。
みんなそれぞれに、かなりよいものが書けそうな予感がする。
がんばってね。
発表後、14人連れで「民芸ふじや」に乱入。
一仕事終えた解放感で、わいわい大騒ぎする。
帰りの電車で、K満くんからご質問
「先生、後期の体育の授業の『マクラミチ』って、どんなことやるんですか?」
「?」
「いや、友達が、後期の体育何とろうか考えてて、『ウチダ先生のマクラミチって、面白そうだから取ろうかな』って言ってたから」
「あのね、あれは『枕道』じゃなくて、『杖道』なの」
これまでいろいろな読み違えを経験したが、「マクラミチ」はベスト3にいれてもいいね。
杖道の最初の授業はTAのウッキーにお任せした。(卒論の中間発表とのダブル・ブッキングを忘れていたことを合宿の帰りの車の中で思い出して、「ウッキー、あとは頼んだ!」とおしつけちゃったのである。)
そつのない弟子がいると、物忘れの多い教師はほんとに助かる。
ウッキーどうもありがとう。
よき師、よき友、よき弟子に恵まれて、ウチダはほんとうに幸せ者である(泣)
(2003-09-29 00:00)