9月16日

2003-09-16 mardi

8時半まで爆睡。
兄ちゃんは毎日早起きして、ジム通いをしているが、私はひたすら寝るだけ。
さすがに退屈らしく「いい加減に起きろ」と揺り起こされる。
いいじゃん。バカンスなんだからさ。
ルームサーヴィスでハワイアン・ブレックファースト。
卵とソーセージとハッシュドポテトとベーグル。けっこう量があるので、すでに腹一杯。ふだんであれば「おなかいっぱいなので、二度寝」に持ち込むところであるが、それは許されそうもない。
のろのろと死ぬほど快晴の海岸へ出て、チェアーを二つ並べて、日除けのテントを張ってもらう。
おお、これはよい加減だ。
というので、また寝てしまう。
爆睡しているところを起こされて、シュノーケリングをやろうという兄ちゃんの誘いに応じて、フィンをつけてシュノーケルを装備して、岩場に潜りに行く。
おおお、これは美しい。
砂浜にはまるで魚の影も見えなかったが、岩場は水族館状態。
しばらく陶然と水中に遊ぶ。
午後になると貿易風が強くなり、海が荒れてくるので、プールサイドに移動。
マウイの青空を眺めながら志ん生の『唐茄子屋政談』を聴く。
ハワイと志ん生はたいへんに相性がよろしいということは過日申し上げたが、特に『唐茄子屋政談』は若旦那が夏の日差しにあたって、「ああ、暑い」とよろける場面があるので、さらに実感がこもる。
こちらも、「ああ、暑い」と指を立てて、ココチチなどを注文してちうちう飲む。

太陽の下でうっかり二回も昼寝をしてしまったので、油断しているあいだに足が日に当たって腫れ上がってしまう。
ハワイの太陽をあなどってはならない。
しかし、白人の男女は日除けもないところで、裸体を陽光にさらして、ばりばりと灼きまくっている。あんなにめちゃくちゃに灼いて痛くないのであろうかと他人事ながら心配になる。

カウアイのプリンスヴィルから諸田さんご夫妻からファックスが届く。池上先生の関係者はみなさんご丁寧な方々である。
ご返事をこれまたファックスでお送りする。私たちはあと一日でバカンスが終わりだが、あちらはまだまだゆっくりお過ごしになられるようである。羨ましい。

夜は最初の日とおなじイタリアン。
日没を眺めながら、シャンペンとキャンティ。生ハムにイカフライにサラダにパスタ。
美味なり。
しかし、こんな生活を何週間も続けていたら、完全に痴呆化してしまいそうである。
兄ちゃんは何週間でもいける、と断言するが、私は三日が限界である。
すでに早く家に帰ってルーティンワークに戻りたくて仕方がない。
純粋な消費生活をエンジョイするには、まだまだひととしての修業が足りないのである。