9月14日

2003-09-14 dimanche

本格的なリゾートライフ第一日。
今回のハワイ旅行のテーマは「ひたすらだらだらする」である。
したがって観光とかオプショナル・ツァーであるとか買い物とか、そういうものにはいっさい見向きもしないで、ただ寝て、泳いで、飲んで、食べるのである。
この点については私たち兄弟は深く意思統一ができており、今回のバカンスでは「はやく・・・をしよう」とか「・・・しなければならない」というのはいっさい禁句である。
とにかくひとつひとつの動作を緩慢に行い、時間が無為に流れて行くこと、それ自体を果汁をストローでちゅうちゅう啜るように楽しもうではありませんかという趣旨なのである。
プールサイドの天蓋つき寝椅子にでれっとなって、南国のいやがうえにも青い空をながめながらMDで志ん生の『五人廻し』を聴く。
あまり知られていないことであるが、ハワイでもバリでも、脱力系リゾートには志ん生がたいへんフィットする(合気道の合宿などにはフィットしないが)。
今回はのんびり本が読めるので、念願のトーマス・マンの『魔の山』を読破すべく持ってきたのであるが、スイスのサナトリウムでの緩慢なる療養生活とリゾートの生活ペースはなかなか相性がよいらしく数頁読むごとに深い眠りに誘われる。

海が静かなので、沖まで泳ぐ。
人間はもとが海洋生物であるせいか、海水に浸かっているとなんだか母胎回帰したようなふしぎな安堵感に包まれる。
朝昼兼用のターキー・クラブサンドと Coors だけで一日ごろごろする。
今夜はハワイアン料理。
ハワイアンというのは西洋料理と日本料理と中華料理のまじったなんとも懐かしい味のものである。
マグロのタコス、エビシューマイをアントレに頂き、カリフォルニア・ワインで鴨を囓る。(兄ちゃんは「極上ニューヨーク・ステーキ)
今宵も美味なり。
部屋にもどって星空を見ながらオールドパーを飲む。
向田邦子『父の詫び状』を読んで寝る。