8月4日

2003-08-04 lundi

たまった用事をさくさくと片づける。お掃除、洗濯、アイロンかけ、あれこれのお礼状を書いて、洋泉社の再校を仕上げて宅急便で送り、それから大学へ行って成績をまとめて提出。
これにて、ようやく「前期の仕事」が終了。本日、午後四時をもって「夏休み」スタートである。
やれやれ。とにもかくにも生きて夏休みを迎えることができた。
さすがにここまでたまりにたまった疲れで、家に戻っても、頭がぼうっとして、動かない。
いまのうちに片づけておかないといけない原稿がいくつもあるので、帰るとすぐに机に向かうのだが、どうしたことか、一行も書けない。
ウチダは何も考えずに、ただ「霊感」の赴くままに、「お筆先」状態で原稿を書く人間であるので、憑依されないとただのボンクラである。
『ミーツ』の原稿も、調子がいいときは1時間足らずで書いてしまうのであるが、今取り組んでいる第六回目の原稿などはもう10時間くらい書いているが、ぜんぜん先へ進まない。
こういうこともある。
こういうときに限って、突発的な仕事が入ってくる。
ひとつひとつはたいした量ではないので断りにくいのだが、それでも資料を調べて、書いて、推敲して、ということになると、それだけで半日から三日は潰れてしまう。
先方は数ヶ月に一本のつもりで気楽に頼んでくるのであろうが、そういうのも「積もれば山」である。
指折り数えてみたら、「そういう仕事」をまじめにやっていると、それだけで一月半の夏休みはあらかた終わってしまう。
そんなことになってはレヴィナス老師にも国文社の中根さんにも会わせる顔がない。
なんだか、仕事をすればするほど不義理がふえ、私に対して腹を立てる人が増え、世間がどんどん狭くなってゆくような気がするのは私の錯覚であろうか。