下川正謡会大会無事終了。
無事と言うのはちょっとはばかれるけれど。
素謡『正尊』のツレではじめて裃をつけて舞台に出た。
世に「カミシモつけて」という語法が存在するように、裃を付けるとがちがちに緊張してしまうのである(裃付けてやるのは「重習い」という特殊な曲だけなのである。ウチダははじめて)。
というわけで、素謡で舞台を踏むのは6回目なのだが、はじめて終わったあとに足が死ぬほど痺れて、立ったところでこけてしまった。
つねづね下川先生に「足が痺れたときには、感覚が戻るまで立ち上がってはいけない」とうるさいほど注意されていたのであるが、「もう大丈夫だろう」と思って立ち上がったら、ふらついてしまった。
ごき。
げげげ足首を捻挫してしまった。
こんなどじを下川先生に知れたら死ぬほど怒られる。
4時間後に舞囃子『船弁慶』がある。
一年間稽古してきた舞囃子を足首の捻挫ごときで棒に振るわけにはゆかない。
人目を忍んで、近所の薬局に行って冷却スプレーとバンテリンを購入。患部にじゃかじゃか投薬する。
あとは私の「トカゲの生命力」に頼るしかない。
神さま仏さま、私の足首10分間だけ動かして下さい。
朝一番で湊川神社に参拝して「無事に舞囃子ができますように」と必死で祈願した甲斐あって、本番前に嘘のように痛みが引く。
課題の拍子も、下の舞台で一人でお稽古していたときに太鼓の三島元太郎先生がにこにこ笑ってやってきて、「こっちも思い切り大きな声で『ほおお』って言ってあげるから、そのあと『トン』で『ドーン』ね」と何度もリハーサルしてくれた。
なんとご懇篤な方であろうか。
出番前は藤谷音彌先生がすごくフレンドリーに話しかけてくれる(藤谷先生は街レヴィ派総帥橘真さんのお友だちなのだ)ので、すっかりリラックスする。
素知らぬ顔で本番の舞台を踏む。
おそらくアドレナリンが「ばーん」と出たのであろう。舞台の上ではまったく痛みがない。
やれ、ありがたや。
「何だ、治ってたんじゃないか」と思ってへらへら楽屋に戻ったら、いきなりぐきぐき痛み出した。痛いよー(しくしく)。
猛省。
「ここ一番」というときに一瞬の油断のせいで万全のコンディションで場に臨めないような状態になるとは、武道家として恥ずべきことである。
深く反省。
懇親会で帯刀先輩から「私も昔、足の痺れで舞台でよろけたことがあって、それ以来、決して痺れを侮らないようになった」という貴重なご教示を頂く。
私も二度とやりません。
という反省の多い一日であったが、実に多くのみなさまに来ていただいた。
遠く丸亀からお越し頂き(お部屋見舞いありがとうございました)守さん(怪しいビデオありがとうございました。さっそく拝見)、遠く滋賀からお越し頂き(お部屋見舞いありがとうございました)鵜野先生、遠くオーストリアから来ていただいた(わけじゃないと思うけど)デヴリン先生、朝一番から来てくれた神吉くん(デートはうまくいきました?)、おひさしぶりの橘さん(ジャックはいつ開店ですか?)、『ミーツ』の青山さん、いつもすいませんドクター佐藤はじめ街レヴィ派のみなさま、毎年どうもの平山さん溝口さん、また明後日ねの渡邊さん大迫さん角田さんそしてミヤタケ&ウッキー、ゼミ生の見満さん&お母上、そのほかご挨拶の機会がなかった方々もおられると思いますけれど、みなさんほんとうにありがとうございました。
また来年も湊川神社でお会いしましょう!
(2003-06-01 00:00)