トリノで「イッタリアーノ」な生活をしているブタさんこと96年卒のT田M子さんが、「ホーリーな」生活をしている94年卒のホーリーR子さんとともにご挨拶に登場。
なぜかこの二人は同じ会社で相次いでミュンヘン勤務となり、逃走するホーリーさんが新任のブタさんに事務の引き継ぎをしているうちに、ふたりともウチダゼミの卒業生ということが知れたというまことに不思議な因縁の人なのである。
その後ブタさんはミュンヘンで知り合ったイタリアーノとご結婚されてトリノ人となってしまわれ、今回の帰朝はその結婚のご報告。
96年卒は "るんるん" カナ姫、ガラス屋マキちゃん、夫婦別姓問題のカッキ的解決策を発見したイトーさん、島原の孝行娘イシモリ、中山手のマダム・バッシー、舞姫アキラさんなど、とにかくつわもの揃いの人々で、ウチダの生涯に忘れ得ぬ記憶を刻んだ皆さんばかりである。
ブタさんについては、ランカウイの森の中の怪しいレストランで「ゾンビー」という緑泥色のカクテルをぐいぐい呑んでいた場面がとりわけ印象深い。
ホーリーR子は卒論書くときにウチダの研究室にあったキャノワードを借り出し、卒業後引っ越すときに笑って粗大ゴミに出してしまった剛腕のキャリアウーマン。(注:本稿掲載後、ホーリーから訂正要求があり、あのワープロはその後も彼女の転居さきを共に転々とし、最後は芸大の学生に譲渡されたのだそうである。不思議な運命をたどったのね)
ともに神戸女学院のリベラルアーツ教育の成果を体現しているというにふさわしい怜悧にしてタフなみなさんである。
ひさしぶりの再会を祝し、早速学食にご案内して「なんでも好きなものを食べなさい」と旧師も豪毅なところをお見せする。(二人が注文したのは、「味噌ラーメン」170円と「親子丼」240円。まったく遠慮深い淑女たちである)。
ドンペリか、せめてモエ・エ・シャンドンくらいは・・・とメニューを探したのであるが、品切れだったようである。またこんどね。
さらに歓談しているところに講談社の編集者の方がおいでになってビジネストーク。
期間限定物書きとしては「もう新規注文はお受けしない」建前なのであるが、わざわざ東京から来られたとあっては、手ぶらでは帰せない。
「高校生のためのブックガイド-これだけは読んでおきたい20冊」という書き下ろし企画がまとまった。(なんだろう20冊って。これから考えよう)
バーター交換に、既発の「文庫化」をお願いする。
レヴィの『フランス・イデオロギー』と拙著『レヴィナスと愛の現象学』、『期間限定の思想』『女は何を欲望するか』など。
洋泉社から3月末締め切りの原稿を6月末までのばすから、ちゃんとやってねという電話が入る。
晶文社の安藤さんからは明日までに映画論のタイトル案を三つ四つ考えておくようにという電話。
角川書店からは文庫版『ため倫』の「あとがき」を高橋源一郎さんに頼んだらご快諾頂いたという連絡が入る。(高橋さん、ありがとう!)これも6月末までには増補版の原稿を書き上げないといけない。
しかし、こんなにたくさん仕事を引き受けてしまって、ほんとうにできるのであろうか。
頭がぐらぐらしてきたので、三軸自在研究所に行って三宅先生にぐりぐりしてもらう。
三宅先生は甲野先生の動きに驚き、あれほど速く動く人というのを見たことがありませんいやーよいものをみせていただいた眼福眼福と感動を新たにしておられた。
三軸自在に行くといつも「おみやげ」を下さるので、ウチダは恐縮しているのであるが、今日は「ダイエット」関連ものである。
三宅先生は「私はダイエットのプロです」と豪語しておられたが、体重90キロの人にそんなこと言われても・・・と、いまいち得心のゆかないウチダであったが、なんと三宅先生はその前は134キロあって、一年で50キロのダイエットに成功した(いまは軽くリバウンドして90キロ)という壮絶なダイエット実践者だったのである。(証拠写真も見せて頂いた)
三宅先生に「ウチダ先生の膝は私が治します」と断言して頂いたおりに、「どこまでもついて行くんだ、この人に」と決意したウチダは、「あと15キロ痩せさせてあげます」と断言して頂いたら、なんだかその気になってきた。
まずは「お酢」を頂く。
これをぐいぐい呑んで代謝をよくするのだそうである。
「ダマされたと思って呑んでごらんなさい」と三宅先生はおっしゃるが、それって人をダマすときの常套句じゃないですか、三宅先生ってば。
(2003-04-23 00:00)