週末に兄上が芦屋においでになった。
兄は昔から「日本を歩いて一周する」ことに理由の知れぬ固着を示しており、いまから30年くらい前に、ある日家からふらりと歩き始め「沖縄まで歩いて行く」(海の上は歩けないけど)と告げて西のほうに去っていったことがある。
そのときは御前崎まで行って、足が痛くなって挫折したかにうかがっているが、その後も「歩いて日本を踏破」という夢を棄てることができず、十年ほど前から、再びちょっとずつ歩いている。
つまり、ある年には「東京から保土ヶ谷まで」歩く。そして、保土ヶ谷から電車で家に戻る。
次の年は「保土ヶ谷から沼津まで」歩く。そして沼津から・・・
というふうにして毎回数十キロずつ歩きためて(これぞマイレージ)、とうとう今回大津まで辿り着かれたのである。
大津のプリンスホテルのスイートに泊まって、電車で神戸まで来て、神戸から芦屋までタクシーで来る。
次回は大津から京都まで歩き、今年の秋ごろには芦屋を経由して城崎へ抜け、さらに丹後半島へ回って、北陸道を北上、北の果てまで行かれる予定だそうである。(そのあとは、さらに歩を進めて世界一周をされるらしい)
兄は頭のよい人で、さらに(私と違って)性格も温良な方なので、私は深く敬愛しているのであるが、ほんとうは何を欲望している人であるのか、私にはよく分からない。
この「国見」にも、きっと何か私の理解の及ばぬ種類の象徴的な意味があるのだろう。
とりあえず国分さんのところに神戸牛を食べに行く。
ぱくぱく。
二人で神戸牛のステーキを三皿平らげ、国分シェフお薦めのプイイ・フュメをごくごく呑む。(当然兄上の奢り)。
肉は喩えようもなく美味しく、ワインはきりりと爽快である。
気分がいいね。
(2003-04-15 00:00)