2月10日

2003-02-10 lundi

オフなので一日原稿書き。
身体運動文化学会会報に「研究の近況」1500字。
『映画の構造分析』の「まえがき」と「あとがき」を書く。
これで完了。メールで晶文社の安藤さんに送る。
2003年二冊目の本。
これで「二丁上がり」である。
勢いに乗じて、『非中枢的身体論』のまとめにかかる。一気にまとめて、「あとがき」を書いて、これもメールで新曜社の渦岡さんに送る。
これで「三丁上がり」。

年が明けてから1月半で3冊本を仕上げた勘定になる。
もちろん『身体論』のアンソロジーは古いのは8年前の論文を収録しているし、『映画論』も3年かかっているから、別に一月半で書き上げた訳ではない(そんなの不可能である)。
しかし、目の前が暗くなるほどの公私多端のさなかに一気に単行本を三冊「書き上げた」のはゆるぎなき事実である。
この点についてはわれながら「よくやった」と思う。
『疲れすぎて眠れぬ夜のために』はお気楽エッセイ集であるが、『映画の構造分析』は(趣味的記述も散見されるものの)いちおう学術的映画研究書であるし、『非中枢的身体論』は(一部にトンデモ知見も指摘されるものの)いちおう科学的な身体論集である。
このところ、「おじさんエッセイ」とか、「説教本」とか、そういうものばかり書いていたので、私が実は映画論と武道論の領域においても、地道な研究を孜孜として積み上げてきたことをご存知ない方も多いようであるが、ほんとうの私はそういう人なのである(「地道な」についてはご異議のある同僚もおられるであろうが)。
このあとは春休み中に海鳥社の『レヴィナスとラカン』と洋泉社の『時評本』(タイトル未定)を書き上げてしまう予定であるから、今年前半発行の五冊中の三冊が「学術書」であり、それも「哲学」「映画」「武道」と私の専門領域三つをちゃんと按分してあるのである。
なかなかできないことである。

残り二冊にしても、今から3月末までの6週間のあいだに、引越をし、下川正謡会の新年会で舞囃子と独吟と素謡と地謡をやり、芦屋市民センターで講演をし、文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム」のプロジェクトを起動させ、かなぴょんの結婚式でスピーチをし、総文シンポジウムで「教養の崩壊」について報告し、卒業式と卒業記念パーティに出た足で合気道の合宿に走り込み、早稲田大学まで赴いて『女は何を欲望するか』の読書会で袋叩きにされ、母を迎えて有馬温泉で親孝行させて頂く・・・という目の回りそうな日程の中で書き上げてしまおうというのである。
なかなかできないことである。

「ねえ、ウチダ、ヒマなんだろ? 春休みで。あそぼーぜ」というような気楽なことを言ってこられる向きがたまにあるが、それは短見というものである。
さらに、そういう短見なオッファーに「おう、ヒマヒマ、めっちゃヒマ」と即答してしまう自分がコワイ。