1月18日

2003-01-18 samedi

センター試験初日。朝九時から夕方の六時まで、試験監督。
試験監督というのは、「そこにいる」というのが仕事であり、何もしてはいけない。(本を読んではいけない、おしゃべりしてはいけない、寝てもいけない、変な動きをしてもいけない・・・)
私のようなハイパーアクティヴな人間にとっては、ある種の拷問である。
しかたがないので、試験関係の書類にあれこれと必要事項を記載するふりをして教壇で、「監督要項」の余白に、「関西電力メールマガジン」用の原稿を書く。
ほんとうはシグマリオンを持ち込んでパシパシ打てばそのまま送稿できて、たいそう効率がよいのだが、他にもたくさん監督者がいるので、そうおおっぴらに内職もできない。
途中45分お昼ご飯休憩があっただけで、あとはノンストップノーブレークで六時まで。
へろへろになった後にもう一つ会議が七時半まで。

ふらふらになって西宮北口でベルギーから一時帰国しているカナ姫とご会食。
姫は明朝ベルギーへ帰るので、福山から関空への移動の途中、西宮北口での夕食を約束していたのである。
姫と会うのは一昨年の夏、岡山の赤澤(旧姓尾川)さんのガラス工房以来である。
北口の駅で黒いコートに身を包み、大きなトランクを抱えた長身の姫はいつもの笑顔で「あーら、センセー、お久しぶりです」

「姫、ご機嫌うるわしう」

なぜか私はカナ姫の前に出ると「三太夫」化してしまうのである。
並木屋にご案内して久闊を叙す。
寒いせいもあってか、お客は比較的少なく、おかげでネタも豊富で、美味しい寿司を食べられた。(この日は珍しくご主人が握ってくれたのである。山本浩二画伯によると、並木屋は「給料日前の雨の降る平日の午後7時ごろ」に行くと、たいそう美味しいお寿司が食べられるのだそうである)
熱燗を二人でくいくい呷りながら、姫と同期の諸君のその後や、来し方行く末についていろいろ話す。
たまたま同期の二人、武田さんとK井さんが私のホームページ上で「トリノ日記」と「リエージュ日記」を連載しているので、私のホームページを見れば、二人の食生活について実に詳細に知ることができる。
その彼女たちも今年で三十路。月日の経つのは速いものである。
今年の九月にフランス語研修のおともでブザンソンにゆくので、一度リエージュをお訪ねすることを約して駅頭にてお別れする。