11月11日

2002-11-11 lundi

こりこりと原稿書き。
午後、大学に行って四年生のゼミ。
この四年生諸君と毎週顔を合わせてわいわいおしゃべりするのも、あとわずかである。ゼミは12月いっぱいで終わりだから、もうカウントダウンだ。
二年間毎週やっていたゼミがなくなり、当然のように毎週あっていた学生たちともう会えなくなる、というのは、寂しいものである。
学生たちも同じような気分らしく、なんとなく「しんみり」した風情が漂っている。
でも学校というのは、こういうふうにひとびとが不可逆的に流れ去ってゆくというところがよろしいのである。ゼミ生同士が仲良くなって、だんだん盛り上がったきたところで「残念ながら、はいおしまい」というのがせつなくて、そこがよいのである。

夕方から杖の稽古。
誰も来ないので、一人稽古。
一人稽古は楽しい。ふだん考えていたことをいろいろ試してみる。
背中の使い方、肩の消し方をいろいろ工夫する。剣を振り下ろすという、ただそれだけの単純な行程がどれほど複雑な身体操作を要求するのか。
そのうち二人やってきて、ようやく形稽古ができる。
学生さんがちっとも来ないのは、どうしてなんだろ、杖、面白いのになあ。
合気道うまくなりたいのなら、すごく勉強になると思うんだけど。
というわけで、業務連絡:

神戸女学院大学杖道会はただいま「会員募集中」であります。
入会随時。稽古は毎週月曜の5時 - 7時、大学体育館にて
ただしい剣、杖の操作法を習得することを通じて、武道的な身体運用とはどういうものかを考究しています。
全剣連の制定形のほかに、合気剣、合気杖も併せて稽古しています。
関心のある方はどうか見学に来て下さい。(学生、院生、中高生、教職員、どなたでも参加できます)

夕食のあと、昨日に引き続き笠原一夫『昭和の劇』を読む。
角川書店のY本さんから電話。昨日の日記に「校正がまだ半分しか終わってない」と書いたのを読んで、「気が気でなくなって」お電話をしてきたようである。
なんとか年内には原稿をお渡ししますとへこへこ約束する。
角川書店からは来春に『ためらいの倫理学』の文庫本を出して頂くという話になっているので、ひごろ傍若無人のウチダもやや腰が低いのである。
Y本さんから「受注期間内にもう一本注文入れていいですか? 『性愛論』をひとつお願いしたいんですけど」という次なる仕事のオッファー。
もうバックオーダーが不良在庫化していて、はたして生きているあいだに原稿を渡せるかどうかさえわからないような状態なのである。
仕事が一つ二つ増えたってもう関係ない。
へいへい、なんでもお受けしますよ。はい、まいどおおきにとご返事しておく。
キックがはいったので、そのままパソコンに向かって角川の校正を続ける。
興に乗ってばりばり原稿を書いているうちに気がつけば午前1時。
おお、たいへんだとばたばたとベッドに潜り込み、さらに小倉鉄樹の『おれの師匠』を読んでいるうちに、いつのまにか爆睡。
ほんとに忙しい毎日だな。