7月25日

2002-07-25 jeudi

夏休み第一日。
なぜか、夏休み第一日目は「朝から出勤」である。
山本浩二画伯による「比較文化特殊研究」の集中講義の初日だからである。
集中講義の初日には担当の専任教員が「お出迎え」をして、いっしょにお昼ご飯を食べるという美風がある。
午前9時半に文学部事務室に行かなければならない。
そのためには午前8時には起床せねばならない。
午前8時!
それって、ウチダの夏休み時間では「のそのそ起きて、朝飯食って、朝刊読んでいるうちに睡魔に襲われ・・・」の二度寝のインターバル時間である。
というわけではげしい睡魔と戦いながら登校。
あくびをしながら画伯と朝の珈琲などを頂く。
画伯は講義の準備万端整えて朝から意気軒昂である。

芸術実技系の科目を総文でもっとたくさん展開したいというのはウチダの悲願である。(増田聡くんや田川とも子さんのような若くてアトラクティヴな先生に大活躍していただきたいものである)それがどれほど生存戦略的にクレバーな選択であるかを理解している教員は残念ながら本学にはほとんどいない。
それでも画伯のような「生のクリエーター」に非常勤で来て貰うというのは、オプションとしては新機軸。とりあえずの一歩、というところである。
画伯を教室までお送りしてから、自己評価委員会関係の雑務処理、研究室のお掃除(といっても「読まずに机の上に積んであった書類を、今日まで読まずにいても誰からも文句が来ないので、たぶんこのまま読まずにいても大過ないであろう」と判断して棄てる、というだけのことであるが)書類5キロほどをゴミ箱に抱えていって棄てる。
ホームページの更新をしていたらもうお昼。
画伯とお寿司をご相伴。
学生たちは熱心に実技に取り組んでいるようである。
何をやってんの?と聞くとなかなか面白そうなので、のこのこついて午後の授業を参観。(授業参観は自己評価委員長としてのたいせつな「責務」の一つであるからして)
「紙をつかった立体」というエチュードに参加する。
ひさしぶりに画用紙に色鉛筆で画など描いているうちに、むらむらと「絵心」が蘇ってきて、学生さんから画材を借りてばりばりと「夢のおうち」などを描いてしまう。
は、しまった。午後は研究室で粛々と論文の続きを書く予定だったのだ。
一時間で退散。

東北の某大学にこの春から勤めたイサコくんから「救命メール」が来る。
教師たちのあまりにアグレッシヴなセクハラに我慢の限界を超えたので辞職して関西に戻りたいけれど女学院に仕事ありませんか、というお尋ねである。
さっそく情報処理センターに出かけて嘱託職員の求人があることを教えてもらって返信。
どうも大学におけるセクハラというのは、私の想像を超えた事態になっているようである。

芦屋市の市民講座から出講の依頼が来る。
「おじさん的思考」という演題で90分。
芦屋市は久しく私のホームタウンであり、市の国際交流協会の委員も長くやっていたので、(北村市長とご歓談したことだってあるし)こういうイベントにはご協力を惜しむものではない。

ようやく一段落ついて、フロイトの「女性について」を読んでいるうちに、はや合気道の稽古の時間となる。
ひさしぶりに岡田山の道場でばりばり稽古をして、よい汗をかく。
夏休み一日目は、いろいろなことがあったけれど、まるで仕事になりませんでした。