7月21日

2002-07-21 dimanche

週末二日間を徹底的にだらだらしていたら、ようやく少し体調が回復してきた。
だらだらしたと言っても、もちろんばりばり原稿は書いているのであるが、誰とも話しをせずに過ごしているのでコミュニケーションを調整するための心理的負荷がほとんどかからない。
ひとりで書斎と居間と台所と寝室を右往左往しながら、「げふ」とか「ぼほ」とか低くつぶやくだけの、スタンドアローン人生である。

ひとあくびしたら不意にベッドに倒れて昼寝をする。
起き上がって、なんとなく風呂に入る。
風呂から出て、さりげなくビールを呑む。
酔いが回ったので、興に乗って原稿を書く。
酔いすぎたので、バーボンに換えて『スパイ・ゲーム』を見る。

というような「行き当たりばったり」生活をしていると、全身の「凝り」がゆっくり溶けて行く。
定期的に「だらだらする」というのはたいへんにたいせつなことである。
世の中には休日になると気ぜわしく遊ぶ人がいるが、あれはいかがなものかと思う。
せっかく神さまが一週間に一日設けられた聖なる「安息日」である。
安息しようではありませんか。
私はこの二日間深く安息した。
そして原稿を三本書いた。

「私の好きな詩歌」(私の好きな歌はいろいろ考えたが、他の書き手とかぶると困るので、意外な線狙いで「ワルシャワ労働歌」)
「ミーツ」の原稿「What does a woman want?」(女は何を望んでいるか?)10枚
甲野善紀先生の『武術の新・人間学』の「文庫版あとがき」「ご縁の人・甲野先生」という題名で10枚。

その前の日には「兵庫教育」というところから「読書の薦め」のエッセイを、ということで10枚ほど書き、その前の日には『論点・2003』にやはり10枚ほど書いた。
本格的な「物書き」のごとき執筆ペースである。
もちろんこんなことを続けていた日には、私の「ひきだし」はたちまちカラとなり、「また同じ話じゃねーか。使い回しすんじゃねーぞ、こら。」という編集者からの電話に怯える日が訪れることは火を見るより明らかであるので、ぼちぼち「店じまい」の支度をしないといけない。

とりあえず、夏休み中に締め切りのある原稿は(連載以外は)なくなった。ほっと一安心。
いよいよ今週から夏休みである。
たまった仕事にとりかからないといけない。
まずは「ラカン/ヒッチコック」からである。