高温多湿。日本の夏はほんとうに亜熱帯である。
こんな地域、こんな環境で、ネクタイをしめて労働をしようというのであるから、日本人というのはずいぶん勤勉な人々である。
本日はゼミ集合写真を撮るのであるが、全員「浴衣」着用ということになった。
学生諸君は社交館の和室を借りて着付けをし、私は家から持ってきた浴衣に研究室で着替えて、雪駄履きで扇子をつかいながらキャンパス内を歩く。
道行く学生たち教師たちが私の異様な風体を見て「ぎくっ」とする。
ふだんから道衣すがたで学内を闊歩している様にはもうだいぶ見慣れているようだが、浴衣の着流しで文学館内をぺたぺた歩いているとさすがに人々の視線は険しい。
「温泉旅館じゃないんだけ」
という半畳が入る。
私も決してふまじめな意図でこのような風体をしているわけではないのであります。
ゼミ指導の一環としてですね、学生たちと同じ目の高さで、同じ物を眺め、同じ感覚を共有したい、と。かような教育的配慮に基づいた私なりの教化的努力というものをご理解いただけないものでしょうか。
足もと涼しいし。
写真撮影後、一同そのままの浴衣姿で教室にもどって演習。
なんとなくフレンドリーな雰囲気である。
浴衣の効用。
そのあと8月からフランスに言ってしまう増本さんの送別会を御影で行う。
本日のテーマは「フランス料理」ということであったが、出てきたのはカナッペとピザとスパゲッティとゼリーとプリンとアップルパイ。のみものはワインとビールと「どなん」。
増本さんが帰ってきたときにはゼミ生たちはもう卒業してしまっているので、このメンバーでこんなふうに宴会をやるのはこれが最後かもしれないね、ということでゼミ生たちはしくしく泣き出してしまった。
よい子たちである。
みんな、がんばれ。
(2002-07-15 00:00)