超多忙の週末が始まる。
第一日目の本日は授業→学科集会→授業→会議(ふたつ)→大学院入試問題作成→甲野先生講演会→懇親会という、イベントとイベントのあいだの「休憩時間」が五分くらいしかないタイトなスケジュール。
あたまがくるくるする。
しかたがないので授業をしながら休憩する。
一時間目の「フランス語で村上春樹を読む」演習では村上春樹の書く男女の会話がいかに巧妙な作物であるかを論じる。(文法を教えているより、こっちのほうがずっとらくちんである。)
今日は接続法大過去の誤植を発見。アクサン・シルコンフレクスが抜けていたのである。フランス人が書いた文章に接続法の誤用を見つけたときのヨロコビというのは、他に類を見ないものである。
来週からは太宰治の『桜桃』をフランス語で読む。太宰のあるグルーヴ感のある日本語がどういうフランス語になるのか、楽しみである。
二時間目のゼミはNHK大河ドラマ『利家とまつ』の文化論的考察。
ウチダが大河ドラマを熱心に見ていたのは『赤穂浪士』のころのことであるが、聞けばそれは大河ドラマ第二回の由。(第一回は『花の生涯』だそうである。おお、そう言えばたしか尾上松緑と佐田啓二が出ていた)
あのころ、長谷川一夫の「おのおのがた」と宇野重吉の「堀田さん・・・」というのがはやったね、という話をしたかったのだが、おそらくそれは私がこどものころに「たっちゃん、『あのねのオッサン』タカセミノルを知らないの?」と言われて困惑したのと同様の困惑を彼女たちにもたらすであろうと自粛。
どたばたと会議をこなして、甲野先生のご来学を待つ。
3時半に朝日新聞の石井晃さんと、武庫川女子大の四回生のお二人と甲野先生登場。
研究室でわいわいおしゃべりをしているうちに時間となり、会場へ。
本日の聴衆は約40人。ガタイのでかい若者たちが前列に陣取って、甲野先生の「誰か、やりたいひといますか?」の誘いに「はいはいはい」と手を挙げる。
聞けば京都大学合気道部の猛者連。噂の甲野先生の超絶技巧を体験せんと長駆京都からいらしたのである。
たっぷり術理のお話をうかがい、「止めて、どーん」という甲野先生の新展開技法の実験台になって、元気な聴衆諸君も満足そうであった。
そのあと例によって聴衆のみなさんとともに「いちぜんや」での懇親会に繰り出す。
会食はさておき、みんな列を作って甲野先生に技をかけてもらい、「ぐふ」とか「おひょ」とか笑いながら悲鳴を上げている。
甲野先生のわざをかけられても別に痛かったり、苦しかったりということはない。何か「とんでもないもの」に触れて、崩れ落ちたり、弾き飛ばされたりするような感覚がするばかりである。
明日はこれを満喫できる。
楽しみである。
(2002-06-28 00:00)