6月20日

2002-06-20 jeudi

ひさしぶりのオフ。お掃除、洗濯、アイロンかけをしてから、『ミーツ』の原稿書き。
江さんからは「大人になるとはどういうことか」、または「女は何を望んでいるのか」を主題に書いて欲しいということを重ねてリクエストされている。
でも、こういう大議論というのはやはりほいほいと書き飛ばすわけにはゆかない。

「大人になる」「成熟する」とはどういうことか。

むずかしいよね。
だって、こういう問いにストレートに答えようとする、ということ自体けっこう「子どもっぽい」ふるまいだからだ。
「大人になるってどういうことですか?」
ときかれたら
「さあねえ。で、昨日、阪神勝ったの?」
というような「受け流し」が「大人」の本領ということってあるし。
と同時に「いきなりまじめになる」という「予断を許さぬ意外性」もまた「大人」の本領だし。
うんうんうなりながら書くが、あまり出来がよろしくない。
仕方がない。
ウチダ自身がまだ「大人」じゃないんだから。

とにかく指定の枚数仕上げたので、締め切りまで「塩漬け」にしておいて、次は『女性学評論』の原稿にとりかかる。
どんどん長くなってもう120枚。
まだまだ長くなる予定。とうに『女性学評論』の指定枚数50枚を超えてしまった。
年一回刊行のジャーナルだから、このままでは分載ということになる。
誰がこんなものを三年越しで読んでくれるであろう。
どうしたらよいのか。
さまざまな原稿を依頼されているのに、それを放って置いて、誰からも依頼されない原稿に没頭するというのも考えてみると不経済な話である。
だいたいショシャーナ・フェルマンにいちゃもんをつけていったいどういう「いいこと」があるのか、私にもさっぱり分からないが、「他人にいちゃもんをつける」ためにがりがり原稿を書いていると、ほんとうに時間のたつのを忘れるほど楽しいのだから仕方がない。

というわけで業務連絡です。
出版社のみなさま。
引き取り手のない原稿が一つ発生しました。「フェミニズム言語論」批判のごりごり硬い学術論文です。
「なんなら引き取ってもよいぞ」という太っ腹なエディターさまがおられましたら、ご一報下さい。格安で勉強させていただきます。