6月6日

2002-06-06 jeudi

暑い。
ウチダは暑いのと寒いのに弱い。
あとネムイのと空腹にも弱い。
しかし、暑がったり寒がったりしている人間に対しては強い。
疲労し消耗している人間にも強い。
「人間に強い」という言い方がサッカー用語であるが、そういう意味でいえば、ウチダは「自然に弱く、人間に強い」。
現代社会向きのキャラであるといえよう。

ジャック・メイヨールの橘真さんと「街レヴィ」派のみなさんから、父への供物とてワインとシャンペンを贈っていただいた。(ありがとうございます)
「街レヴィ」というのは、「街のレヴィナシアン」の略称であって、夜な夜な北野のワインバーに集まっては談論風発、放歌高吟痛飲しつつレヴィナス老師の叡智を称えて夜更かしをするという、世界にもその類を見ない奇特な非営利哲学愛好者たちのサークルである。
どういう方たちなのか、ウチダは直接はほとんど存じ上げないのであるが、今回橘さんから詳細なる会員リストのご提示があったので、はじめてその実像に触れることになったのである。
以下は橘さんによる会員紹介。(晴れて廃案となった「個人情報保護法案」への手向けとして、一部伏せ字とさせていただきました。)

K弘毅  /岸和田代表
A山ゆみこ/ミーツ代表
K吉直人 /修行中の身代表
Tチバナ真/山本通2代表
M前まさなお/「グリルM」のまー坊
T可仁  /ワインショップ「Bリエ」橘の相棒
O槻よしこ/ワインショップ「Bリエ」修行が足りないけど美人
K井貴子 /ワインショップ「Bリエ」K戸女学院卒 綺麗でよい子
N川正一 /ポートピアの「A.C」の元シェフ・ソムリエで現本山のラーメン屋自営
K林興一郎/海上自衛隊の元潜水艦乗りでジャックの一番古くからの常連の方
T浩輔  /F士通のプログラム、デザイナー、プランナー
I丸弓子 /「B薇と薔R」という神戸のクラブの一番の売れっ子(らしい)
K古拓央 /ビストロ「Eスパス」のシェフ
I井つばさ/造園植木職人、元W-ルド、美人姉
I井みずほ/神戸市職員、元レストラン「中国人みたい」美人妹
N野智香子/社会保険の仕事、街レヴィ山岳部部員
K林和子 /N村証券、KさんのK大の後輩
Y岡順子 /ソフトの仕事、BMWのねえさんと呼ばれています
Y本健二 /キュイジニエで在仏3年で帰ってきたばかりで、梅田の店のシェフ
Y岡賀子 /カラーコーディネイトの姉さん、京都Gホテル
K分徳彦 /神戸牛ステーキ「K分」Tチバナの同級生
N村奈津子/乗馬インストラクター、御影在住

など、錚々たるみなさまでした。
ワインありがたく拝受いたしました。Merci mille fois.

『女性セブン』の襲来によって「悪い予感」がしていたのであるが、毎日のように「不思議な仕事依頼」が舞い込む。
本日は三件。
ひとつは『週刊 SPA!』からのインタビュー申し込み。ひとつはリクルートが出している『Works』という雑誌からの取材申し込み。ひとつは高砂市の市役所からの市民講座の出講依頼。
来る仕事は拒まず、というのがウチダの方針であるので、すべてお受けする。
考えてみると、この仕事は受ける、この仕事は断るという是々非々主義でやろうとしても、どういう種類の仕事ならOKで、何が悪いのかということについて私に基準があるわけではない。結果的には「メジャーからの原稿は受けるが、マイナーな仕事は断る」「ギャラのよい仕事はするが、安い仕事は蹴る」というような非常に通俗的な基準で仕事を選ぶようになる。
私はそういう「せこい」ことをしたくないので(しかし、放っておけば必ずしてしまうであろうから)年内は「あらゆるオッファーをお受け」し、本年末をもって「すべてお断りする」ことにしているのである。
しかし、「あらゆるオッファーをお受けする」というのは、口で言うのは簡単であるが、けっこうくたびれるものである。すでに青息吐息。

そこに晶文社の安藤さんから電話で、『「おじさん」的思考』がいよいよ五刷り11000部というお知らせが届く。
一週間ごとにちょっとずつ刷り増ししているので、こんなふうに刷り数だけが増えて行くである。(もっといっぺんにどかーんと刷ればよいのだが、営業は不良在庫の発生を危惧されているのである。ごもっとも)
こうなったら、「目標10万部」ということにしましょう、と景気のよい話をしてもりあがる。