6月2日

2002-06-02 dimanche

下川正謡会大会が無事終了。
今回は素謡『竹生島』のツレと舞囃子『養老』で湊川神社神能殿の舞台を踏ませて頂きました。
ご多用中、早朝から最後まで長時間にわたっておつきあい下さいましたみなさんに心から感謝申し上げます。
また、心づくしの部屋見舞いの数々にもお礼申し上げます。
守さん、香川からはるばるビールをお届け下さいましてありがとうございました。(重かったでしょ)ウッキー、「きんつば」ありがとう。溝口、平山、川村の「おっかけ」三人組のみなさん、「お茶漬けの素」ありがとうございます。飯田先生、お花をありがとうございました。

「舞台を踏む」というのは、文字通り「舞台」をばーんと「踏む」わけで、足で大地を踏むというのは、野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹴速(たいまのけはや)以来の神事ですから、あれはある種の破邪顕正の呪法なのであります。
「神懸かり」した人物を演じつつ、朗々と謡い上げ、ばーんと舞台を踏むという所作のもつ本質的な呪術性が「どういう感じ」であるかは、なかなかうまくことばに出来ませんが、とりあえずたいへん「よい気分」のものであることは確かです。
能楽は中世の芸能であると言われておりますが、ウチダの感覚では、さらに古代的な芸能であるような気がします。
あの独特のグルーヴ感のある音楽とα波ばりばりの謡の中で遊弋していると、現代社会の生活では、めったに目覚めることのない、身体深層の「太古的形質」がざわざわと蠢動するような気がします。
能楽は面白いですよ。
武道と同じで、見ているより、やる方が100倍面白いです。
大蔵慶乃助くんや善竹忠亮くんとも楽屋でふつうにおしゃべりできるし。(ふつうの人は知らないだろうけど、彼らは能楽界におけるSMAPとかTOKIOみたいなアイドルなのです。そういう子たちが、横でお弁当なんか食べてるので、「こんど何やるの?」とか世間話できるのです。)
私が還暦を無事に迎えて初能をやるときには、是非大鼓は慶乃助くんに、間狂言は忠亮くんにやってほしいものです。
とにかく、この三ヶ月くらいは、大会のことがいつも頭にあって、けっこうストレスでしたし、直前に父親の危篤、葬儀と立て込んで稽古が十分に出来なくて心配でしたが、それも終わって、いま深い解放感に浸っております。
あー。ほっとした。
来て下さったみなさん、ほんとうにありがとう。